「長生きにつながる」食事法 「筋肉」は連動していた

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<テレビウォッチ> たとえば脳梗塞で食事を摂りづらい患者でも、点滴や、胃に直接チューブで栄養を流しこむより、口から食べる人の方が遥かに長生きするという。

普通の形態に近いもの

   2000人の高齢の入院者を対象に5年にわたって追跡調査した歯科医は「普通の形態に近いものを食べることが、より長生きにつながる」と語る。

   人間は小腸の表面にある絨毛から栄養を吸収する。細菌を防ぎ、免疫を保つ働きももつ絨毛が、点滴やチューブによる栄養摂取では発達せず、機能を十分、発揮できない。口から食べられないと、体調を崩したり、短期間で亡くなったりする傾向があるというのである。

   番組は、1昨年(2008年)、脳梗塞で倒れ、口から食事を摂れない状態になり、1日3回、チューブによる栄養摂取を行っていた高齢の男性が、主治医の内科医のほか、歯科衛生士、歯科医、作業療法士などのチーム力で、昨年末にはベッドに座れるようになり、ゼリーを食し、笑顔を浮かべる姿を伝える。ノドの筋肉は全身の筋肉と連動しており、作業療法士が全身の筋肉を軟らかくした効果が大きかったという。

   チームの中心となった主治医は「患者さんのやってほしいことを近道でやれることがチーム治療のいいところ」と言う。スタジオゲストの山田好秋(新潟大学副学長)も、安全に食べるには座る姿勢が大事だとし、作業療法士が筋肉をやわらげてそれを可能にし、口からゼリーを食べられることに繋がったと指摘する。

楽しい食事の記憶

   こうした「高齢者の食」を支える取り組みに関して日本は先進国らしい。食べる力の検査、回復、衰えの予防など、最前線の現場が紹介される。中で、年配の男女が並んで「タ、タ、タ、タ、タ」と繰り返し発声する場面が出てくる。山田は「舌を前に突き出す動作の訓練」だ説明し、飲み込むには舌が重要な働きをすると述べる。

   介護食の面でも「日本は世界から高い評価を得ている」と国谷裕子キャスターは話す。先ごろ東京で行われた「介護食展」でも各国の参加者から、好評の声を寄せられたようだ。また、日本の食品メーカーの担当者が中国・上海の富裕層向け介護施設を訪れ、持ちこんだトリ肉の旨煮を入居者に試食させると、「軟らかい」「おいしい」「味も香りもいい」と大いに喜ばれる。中国には、日本の介護食にあたるものがないのだそうだ。食品メーカーの役員は「中国でも高齢化が進む。私どもが培ってきたノウハウが中国でも活用される。大きなビジネスチャンスと考えていい」と自信をみせる。今年中には輸出を始めるという。

   最後に「高齢者がいくつになっても、よりよく食べるには何が大事ですか」と尋ねた国谷に、山田は「寝たきりの高齢者がお寿司を見ると目を輝かせて食欲をみせる。食べたいものがなくなることが不幸だ。子どものころから、家族みんなでおいしく食べた、楽しく食べたという記憶をたくさんつくっていただければ、高齢の方にとって介護の現場で役に立つと思う」と答えた。

   医療チームの世話になるにしろ、介護施設に入ってうまい介護食を食べるにせよ、やはり先立つものが必要だと、ひとしお感じさせられた。

アレマ

NHKクローズアップ現代(2010年3月4日放送)

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