映画アバターの挑戦 何に勝ち何に負けたのか

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<テレビウォッチ>3月8日発表されたアカデミー賞の作品賞、監督賞は、イラク戦争を描いた「ハート・ロッカー」に決まり、注目の「アバター」は視覚効果賞、撮影賞など3部門にとどまった。

3D映像

   しかし「アバター」の3D(3次元)映像は、映画を「観るもの」から「体験するもの」に変えた点で、映画史に残るものだ。公開1か月で、ジェームズ・キャメロン監督(55)自らの「タイタニック」が12年前に作った興行収入の記録を塗り替えている。

   その「タイタニック」も、CGという新技術がもたらした。どちらも、不可能を可能にしたものだ。「アバター」には、構想、機器の開発、制作に12年をかけた。アイデアは少年時代に抱いたものだという。

   キャメロン監督は、「人類は科学技術をコントロールしていると思っているが、どこへ連れて行かれるかわからない面もある。この人類とテクノロジーの関係を追及したい。限界に挑戦し続ける」と意気軒昂だ。

   ナイアガラの滝近くに生まれ育った5人兄弟の長男、父は電気技師だった。ある映画との出会いが、人生観を変える。「2001年宇宙の旅」だった。映画館に17回も通った。それまでも、イメージを絵にしていたが、「映画なら、夢の中の世界を実現できる」と思ったという。

   17歳で憧れのカリフォルニアに移ったが、夢を実現するチャンスはなかなか来なかった。大学を出たあともトラックの運転手をしながら、特撮の勉強を続けていたが、25歳で映画工房で模型造りをやったのがスタートだ。

   ここで次々に斬新なアイデアを出して認められ、2年で特撮担当に。さらに3年で監督になる。「ターミネーター」で注目を集め、アカデミー賞を総なめにした「タイタニック」では、「人間の技術過信を問うた」という。少年時代に抱いたテーマである。

「不可能といわない若手チームと」

   そして「アバター」では、「子どものころから、また大人になってから得たものすべてを結合させた。5年10年前では作れなかった」という。

   映画会社を口説き落として300億円の制作費を出させ、カメラの開発から最新の映像技術開発、さらには各地の劇場主に3D上映を説いて回ったりもした。「おかしなヤツだと思われたと思う。3Dはアニメや子ども向けと思われていたから。しかし、その認識を変えようと努めた。また、不可能だといわない若手チームとやったんだ」

   制作過程を見たという映画プロデューサーの一瀬隆重は、「木の棒に乗って飛んでるような絵を撮っていた。それが鳥になる。どんな映像になるかは、リアルタイムでCG画像でみられるようになっていたし、イラストもあった。しかし、このキャラクターでできるのかと、半信半疑だった。しかし結果はすごいのひと言。才能を再認識した。これで若い人たちも夢を持つのではないか」

   また「キャメロン監督は人一倍子どもの心をもち続けている人だ」ともいっていた。夢が現実になるなんて、なんと幸せなことか。

   それより、アカデミー賞で作品賞、監督賞を獲ったのが、キャメロンの元妻キャスリン・ビグロー監督というのは皮肉だ。わざわざ当日の「クローズアップ現代」にぶつけたNHKにも誤算だったろう。

ヤンヤン

NHKクロ―ズアップ現代(2010年3月8日放送)

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