2024年 4月 20日 (土)

「及び腰」が子どもを殺す 虐待防止「日本の本気度」

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<テレビウォッチ> 子どもの虐待死が続く。児童虐待防止法ができて10年、児童相談所への相談件数は4万件をこえ、10年前の6倍になった。この間、法改正によって保護体制は強化されたはずなのに、事態は悪くなる一方だ。

権限は強化

   原因をみると、まずは虐待のサインの見落としと保護当事者の消極性、怠慢がある。

   今2010年1月東京・江戸川区で7歳の男児が、両親の虐待で死亡した。昨年夏から母親がいまの夫と暮らし始めた。9月、歯科医から「顔や太ももにアザがある」と、区の子ども家庭支援センターに通報があった。

   学校に連絡し、担任、校長らの家庭訪問で父親による虐待を確認した。しかし、父親が「2度とやらない」というのを信じ、児童相談所へは連絡せず。その後、学校が「元気だ」というので、センターは虐待は終わったと判断した。

   しかし10月からたびたび欠席をし、頭の怪我で8日間入院していたのだが、この事実は連絡されなかった。

   奈良・桜井市で今3月3日に食事を与えられず餓死した5歳の男児は、体重が6.2キロと標準の3分の1しかなかった。1Kのアパートで、男児はロフトに押し込められた状態だった。

   乳幼児検診を3年間受けていなかったため、市は電話で受診を促したが、母親は口実をつけて応じなかった。担当者はこれを疑わず、家庭訪問もしなかった。この検診は、国の対策でも、虐待発見の重要な手がかりとされている。

   法改正で児童相談所は、家庭への立ち入り調査や強制的に親と引き離す保護などの強い権限を与えられている。しかし、子どもの虹情報研修センターの川﨑二三彦は、「市区町村の役割が重要。カギは家庭訪問だが、親が『もうしない』といった場合など非常に難しい」という。

「判断が難しい」

   埼玉・蕨市で2年前、食事を満足に与えられず衰弱死した4歳の男児のケースは、児童相談所が判断の先送りを繰り返した結果だ。生まれたとき両親は路上生活者で、男児は2歳まで乳児院にいたから、この子の記録は、児童相談所で分厚い書類になっている。これが虐待のサインを見逃す結果になった。

   まず、保育園に通わせなかったため、保育園長が家庭訪問したが、子どもに会わせてもらえなかった。大きなサインだったが、相談所は深刻でないと判断した。

   死亡の3か月前に保健師が男児を見た。身長が足らず、身なりや様子がひどいため、相談所に報告したが動かず。2か月後の会合で、保育園長や保育士が「引き離し保護」を主張したが、相談所は「身長を測ってみる」ことに。

   その訪問では、父親が「風邪で寝ているから」というのを受け入れ、立ち入らなかった。死んだのはその12日後。所長は「男児との長い経緯から」といっていたが、この間男児を直接見たのは保健師だけだ。

   川﨑は、「育児放棄は判断が難しい」「具体的な援助計画を立てて」「気がついたときは連絡を」などといっていたが、なんとも話が悠長だ。

聞いているうちに、専門家がこれじゃ虐待は防げまい、という気がしてきた。かつて社会はきびしく、ときに押しつけがましく、かつ優しかった。いまは、ただ優しそうにしているだけでは? と。 そこまで踏み込まないと、この問題の答えは見えてこないだろう。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2010年3月15日放送)

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