日本の温暖化監視衛星 これまでの成果とは
<テレビウォッチ>地球上の温室効果ガスの8割を占める二酸化炭素(CO2)やメタンの濃度を観測する温室効果ガス観測技術衛星『いぶき』。精巧なセンサーを搭載し世界で初めて宇宙空間から観測を始めて1年がたった。
「いぶき」
667キロ離れた宇宙の軌道を98分間で地球を周回しながらグローバルな観測データを送ってきている。こうして宇宙で捉えた観測データは、従来からの地上観測データやシミュレーションモデルを組み合わせ、CO2やメタンの濃度を高精度で推定することができるようになった。
また、今まで分からなかった温室効果ガスの発生源、季節変動や気候変化など様々なメカニズムの解明もできるようになった。関係者は「将来、温暖化がどう進むのか、より正確な予測ができるようになったわけで、温室効果ガスをどれだけ削減すべきか、対策を決めるのに非常に役立つ」と自信を深めている。
番組はこの『いぶき』の観測成果と今後の可能性を取り上げた。
「僕はよく、衛星によって『神の座』を手に入れたというんです。人間は地面を這いまわっているので、自分の目の前しか見れない。初めて、自分の存在を外から見ることができ、多くの人が共有できるようになった」
地球温暖化の将来予測が専門の住明正・東大教授が、国谷キャスターに向かってこう呟いた。
国立環境研究所(茨城県つくば)。その神の座というか、神の目の『いぶき』から送られてきた膨大な量の観測データをもとに、スタッフが温室効果ガスの解析に取り組んでいる。
その1人、ロシアから来日して20年というシャミル・マクシュートフ主席研究員は『いぶき』のデータをもとに温室効果ガスがどのように大気中を移動し影響を及ぼしているか、シミュレーッションで研究している。目の前にはモニター画面の世界地図。青く覆われた地域はCO2濃度が低いエリア、赤く染まっている地域ほど濃度が高い。