2018年 7月 20日 (金)

追い詰められるディカプリオ ある種の美しさあるが…(シャッターアイランド)

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(C)2010 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.
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シャッターアイランド>舞台は1954年のアメリカ。密室から姿を消した女性患者の捜査のため、連邦保安官のテディとチャックは、精神障害がある犯罪者のみが収容されている施設がある孤島・シャッターアイランドを訪れる。島では次々に謎めいたことが起こり、テディは幻覚を見るようになっていく……。

「オチ」は弱い

   監督マーティン・スコセッシ、主演レオナルド・ディカプリオと映画ファンならワクワクするであろうこのコンビは今作で4回目。その兼ね合いに否が応でも注目は高まるが、この2人が名コンビなのかどうかには疑問が残る。

   ワンシーンを切り取って見れば、ゾクゾクさせられる箇所もある。過去のトラウマに苦しむ様を、巧みな心象風景やナチス時代のフラッシュバックなどを織り交ぜ、テディの精神が追い詰められていく様などは、強烈な迫真性があり、ある種の美しさすら漂っていて見ごたえがある。が、緊迫感の糸が切れたような演出不足のシーンも目に付いた。

   そして、今作は「オチ」に仕掛けがあるミステリーの王道を行く展開をしていくのだが、そのオチも、もはやパターン化してる感があり、「ミステリー」として捉えれば、弱い。細部にこだわり、映像が持つ強さと美しさが溢れる作品に「ミステリー」という癌が転移してしまったようで、作品は「オチ」に向けて生命力を失っていってしまっている印象を受けた。テディの精神の内側に迫り、何が正常で何が狂気なのか、主観を形成する混乱と秩序、過去と現在――それらが見え隠れする中盤の凄みと、スコセッシ監督のテーマである、善と悪との兼ね合いを全編を通して味わいたかったというのが正直なところだ。

   スコセッシは誰もが認める巨匠である(なんたってあの『タクシードライバー』を撮っているのだから!!)。出世作の印象が強すぎるのか、どうも「アイドル崩れ」のような偏見を持ってしまいがちなディカプリオであるが、この役者は本格派と呼べる実力者であることに疑いはない。

   ディカプリオという役者の実力をもっと引き出すことに成功していれば「凡庸なオチ」も「衝撃のオチ」に成り得た可能性はあっただろう。つくづく映画というものは監督次第であることを痛感させられる。才能ある役者と監督がコンビを組んでも「ミステリー」という形式に呑み込まれてしまうこともある。

   断片的ではあるが、おもわず唸る強烈な描写とカメラワークに☆+1。

川端龍介

オススメ度:☆☆☆
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