アフリカを外国から取り戻せ!欧米帰り「チーター世代」の挑戦

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「外国の企業はアフリカで富を吸い上げては逃げていく。第2の植民地支配だ。地元の人と一緒に富を取り戻したいんだ」

   ナイジェリアで建設業を営むカリムさん(39)は言う。イギリス留学で建築を学び、建設業で働いていたが、4年前に戻った。しかし、地元民は外国企業の下働きばかり。まずは人材の養成だと、研修施設で若者に初歩的な教育をしている。

舞い戻る若手エリートビジネスマン

「君らは将来、職人になるんだ」
「ナイジェリア企業でもやればできるんだと示したい。夢は叶うと信じている」

   カリムさんと同じナイジェリアで、農業の建て直しを目指すンディディさん(35)は、ハーバード・ビジネススクールの出。大手コンサルタントで10年以上働いたが、そのノウハウを祖国で活かそうと戻ってきた。

   ナイジェリアはアフリカ最大の産油国だが、「長年、指導者が私腹を肥やし、国を荒廃させて、農業は衰退した。ジャムまでが輸入品だ。これを立て直す」という。

   時速100キロで走るチーターになぞらえ、彼らを「チーター世代」と呼ぶ。欧米に留学し、企業でキャリアを積んだ20代30代の若手ビジネスマン。それがいま、キャリアをなげうって、続々と戻ってきている。古い世代とどこが違うのか。ガーナの経済学者ジョージ・アイッティ・アメリカン大学教授は言う。

「彼らは怒れるアフリカ人。政府に代わって自分たちで、援助漬けから脱却し、貧しい人たちに力を与えようとしている」

国家予算の60%が外国からの援助

   モザンビークで無料新聞を発行するエリック・チャラスさん(35)もチーターだ。国家予算の60%が外国からの援助。15人に1人がエイズに罹っている。援助に頼らず、病気を防ぐには、と考え出したのが新聞だった。貧困層むけの携帯電話メーカー(外資系)に広告を出してもらい、発行部数はいま5万部で国内最大だ。政治・経済のほかに、病気とエイズ予防の話が載る。

「真実を知れば、病気と闘うことができる」

   新聞の配達に使っている黄色いオート三輪がある。チャラスさんは新聞配達以外の時間には、朝から晩までタクシーとして使わせている。運転手の自立支援策だ。配達員の1人(28)は、「チャラスさんと出会って人生が変わった」という。チャラスさんはいま、郵便事業にも乗り出そうとしている。

第2の植民地からの脱却

   アイッティ教授は、「この世代は、社会的ニーズをビジネスチャンスととらえる。市場がないと農産物は腐ってしまいムダになるが、彼らは市場を作ろうとする。外国に依存せず、組織化して自立を助けようとする。アフリカ人の底力にかけているのだ」という。

   かつて、アフリカのエリートたちは、欧米で学んだあと、多くが祖国へ戻ろうとしなかった。祖国が独裁体制だったり、貧しかったり、戦乱の中にあったりしたからだ。

   しかし、いま資源の価値があらためて見直され、経済成長に結びつく時代になりつつある。これを第2の植民地にしないために、教育、技術を生む産業をおこす、市場を作るーー時代が「チーター」を必要としているのだ。アフリカもようやくそこへ来たか、と感慨を抱かせるレポートだった。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代

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