2024年 4月 23日 (火)

大英博物館よ、持ち去った古代美術品・発掘品を返してくれ

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   今回の放送は「『文明の遺産』をめぐる攻防」を取り上げていた。正確にいえば、「原産国」から外国に持ち出された美術品の帰属をめぐる攻防である。

エジプトにないロゼッタストーン

   まずは象徴的なシーン――。エジプト最大の考古学博物館で、ガイドが「ロゼッタストーン」の前で解説していた。古代エジプト文字解読の鍵となったこの石碑は、エジプト北部のその名もロゼッタという都市で1799年に発見された。「これはきわめて重要な文化遺産、ロゼッタストーンのコピーです。本物は大英博物館に展示されています。オーケー?」と話すガイドの口調はどこか皮肉めいて聞こえた。 エジプト側から見れば、古代の重要な美術品の多くが国外に持ち去られている。その発掘や持ち出し、売買の経緯や許可などに曖昧な点があったり、なにか取り決めがあったとしても、それ自体が相手国との不平等関係から押しつけられたアンフェアなものだったのであり、それらの美術品を「本国」に返してくれ、となる。これは昔からあるテーマだ。

『泥棒博物館』副館長の「返さない論理」

   古いテーマのニュース的なトピックとしては、つい先月、エジプトなど、古代文明発祥の国々をはじめとする参加国が会議を開催したという。そこで、国外に持ち出された品の返還要求リスト(ウィッシュリスト)を共同でつくるなど、「原産国」は横の連携を強めた。番組によれば、こうしたことの背景には「文化財ナショナリズム」が高まっている現状があるそうだ。

   そのウィッシュリストで、もっとも槍玉にあがった(ロゼッタストーンのほか、ギリシャのパルテノン・マーブルなど)のは、まったく意外性がないが、「泥棒博物館」などと揶揄される大英博物館だった。副館長が館内で取材に応じていた。

「(世界の遺産が一堂に会しているので)文明相互の関連性を学ぶことができる」
「私たちはモノの管理者であると同時に、研究を進める役割を果たす学問的な管理者でもある」

   その口調には、管理し、研究を進めるのは自分たちの使命であるといった揺るぎなさがあった。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2010年5月11日放送)

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