「もんじゅ」運転再開 大ボラか夢の計画か40年後の実用化

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   ナトリウム漏れによる事故で運転を停止していた高速増殖炉「もんじゅ」が、14年5か月ぶりに運転を再開した。14年年間もかかったのは、運転経験のある優秀な技術者が3分の1に減り、施設の老朽化がすすんだからだ。これからかかるコストも計り知れない。そんな批判の中での再開である。

   国は商業用実用炉の建設メドを40年後の2050年に置いているが、専門家は「できるかどうか分からない」という。それでも遠大な夢の実現に向け再開に踏み切ったのは、長期的なエネルギー資源の確保のためである。12日のクローズアップ現代は、コスト抑制と安全確保の二兎を追い、イバラの道覚悟で再スタートに踏み切ったもんじゅの行方を探った。

きわめて難しい運転・制御

   原発はウランを燃料とするが、実際に燃やすことのできるウランはごくわずか。しかし、高速増殖炉ならプルトニウムを燃料にして、発電しながら燃やすことのできないウランを次々と新しいプルトニウム燃料に変えることができる。限りある資源を最大限有効利用できる『夢の原子炉』と呼ばれるゆえんだ。

   ただ、その技術の困難さは、「もんじゅ」が初めて臨界(94年4月)に達し、実用化のとば口に立った翌年の95年12月に事故が発生、以来14年間も止まったままだったことでもわかる。

   事故は原子炉内の冷却材に使っている液体ナトリウムが配管から漏れて空気に触れ、火災が発生したものだった。この液体ナトリウムの取り扱いがいちばんの問題という。空気中に含まれる酸素や炭酸ガス、水分と反応して火災が発生するが、とくに水に触れると激しく反応して水素を発生、水素が空気中の酸素と反応して爆発する。

   1980年当時、日本のほか仏、米、英、独、ソ連も開発を進めていたが、技術的な困難さやコスト問題から相次いで計画を断念したり、撤退した。

   そんななかで、90年代に入っても計画を続行し、今でも発電施設を持っているのは日本とロシアだけ。ところが、ここにきて様相が変わってきた。計画を中止していたフランスが再開へ向けて動き出したほか、韓国や中国、インドが高速増殖炉開発に名乗りを上げたのだ。

ウラン価格高騰で各国が開発に名乗り

   キャスター・国谷裕子の「しのぎを削り始めたのはなぜですか」という疑問に、山崎淑行記者(NHK科学文化部)が解説した。

&nbs;  「背景には新興国で始まった原発建設ラッシュがあります。ウラン価格が高騰し、現在では10年前のほぼ4倍、今後も高騰が続くとみられています。

   もう一つは、エネルギー・セキュリティーの視点からカードを持っておきたいという理由があります。高速増殖炉の技術を使うと、原発から出る高レベル放射脳性廃棄物を燃やすことができる。米や仏では『核』のゴミを減らせる技術に注目している」

   とくにフランスは「もんじゅ」の再開に注目し、研究者を今月6日の運転再開に立ち会わせて、逐一フランス大使館に情報を入れていたという。

関係者も「計画通りできるか……」

   では、世界注視の中で、出力ゼロから計画通り来年の出力40%、2年後には出力100%と進み、25年に実証炉、50年に実用炉へとつなげて行けるのかどうか。

   まず、現在の「もんじゅ」とは別の設計で、大幅なコストダウンを図ろうとしている。そのために、液体ナトリウムを循環させる機器を一体化し、配管を短縮させ現在の「もんじゅ」の4分の1に縮小させるという。

   それには配管にもより優れた耐久性能が求められるため、「高クロム鋼」を開発中という。こうした配管の新素材など25項目におよぶ革新技術の開発が必要だが、見通しは立っていない。

   計画に携わっている京都大の山名元教授は、「目標通りできるかどうか分かりませんというしかない」と言う。

文   モンブラン
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