土曜の朝がうれしくなるとっても魅力的な「小さな」番組

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<小さな旅(NHK土曜朝9時>土曜日の朝というどこかホッとしたような時間に、人々のなにげない暮らしぶり、行事、出会い、人生を、落ち着いた映像と語りで見せていくさわやかな番組である。タイトルに「旅」と付いているけれど、名所・旧跡を回るようないわゆる旅番組ではないし、タレントや文化人が案内役となる紀行番組でもない。都会の下町、里山の村、海辺の食堂、山小屋、郊外の商店街、島の祭り……を、国井雅比古、森田美由紀らのベテランアナウンサーが訪ね、人々の日常、笑顔、美しい風景を旅人の目で眺めていく。

人々の健気な暮らしぶり、人情……

   5月29日の放送は「初辰さんに見守られ~大阪 住吉大社界わい~」というタイトルで、大阪の住吉大社で商売繁盛を願って毎月1回行われる初辰(はったつ)まいりと界隈の洋食屋さん、ネクタイ屋さんが取り上げられていた。初辰の神様の使いは裃(かみしも)姿のかわいい招き猫で、毎月参拝してこれを48体集めると「終始発達」すると言われているらしい。

   洋食屋さんはおいしそうなハンバーグだけでなく、明るい笑顔と気配りで近所の家族連れに人気だし、ネクタイ屋さんは夫婦で営んでいて、仕事の合間に端布で招き猫の小さな座布団をつくったりしている。実にほのぼのとした、商人たちの温かい笑い声と人情がそこにはある。

   この回に限らず、この番組はつつましいけれど、地に足の着いた健気でまともな生活のたしかさ、幸せってこういうところにあるのかというようなことを、しみじみと気づかせてくれるのが魅力だ。その意味で、「小さな旅」の小さいというコンセプトが生きている。

   私は東京に住んでいるし、放送の旅先が全国に広がっているので、ずっと全国放送だと思っていたのだが、長く「関東甲信越エリア」の放送で、この4月から全国展開になったのだと知った(それでも一部は別番組)。全国放送になることで「小さい」という意味が薄れはしないか、そこがちょっと気がかりではある。

   この番組のもうひとつ魅力はテーマ曲。大野雄二の作曲で、哀愁をおびたメロディーが映像にかぶさって、素晴らしい余韻を残す。番組を見終わったとき、いつも「日本まだまだ捨てたもんじゃないな」という気持ちになるのがうれしい。

      あきんどの  信心深き  招き猫
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