相次ぐ中高年の登山遭難ここに落とし穴

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   旅行会社が主催し、3人の山岳ガイドが引率した中高年の北海道トムラウシ山登山ツアーで、ガイド1人を含む8人が凍死してから約1年が経った。

   番組は「事故の検証を通して、遭難死を防ぐ」との趣旨で、(中高年)登山を取り上げたが、実際は件のツアー事故の検証が長きを占めた。その検証の中身は、トムラウシ山遭難事故調査特別委員会が出した調査報告書をほぼなぞる形である。同委は社団法人山岳ガイド協会が組織したもので、ガイド業、事故関係者のいずれとも無関係な第三者で構成したとしている。

ガイドもツアー客も低レベル

   番組が報告書に基づくところでは、事故の最大の要因は3人のガイドの判断ミス。「的確な判断をしていれば、あの大惨事にはならなかったのでは。判断がすべて後手後手だった」(調査委座長)

   当日朝、風雨のなか出発し、ポイント・オブ・ノーリタンの険しい岩山を登ってしまい、沼からあふれた川状態の水を越えるのに時間がかかり、参加者は長時間、雨風ふきさらしのなかで停滞。これが「決定的な判断ミス」(ナレーション)で、多くの参加者に低体温症を引き起こさせ、「その後のパーティの運命を決定づけた」(報告書)。

   ガイド3人は客同様、全国から寄せ集めのパーティで、コミュニケーションが取れていたのか疑問。客をまとめ、適切な指示をする力に欠けていたと見られる。参加者の体調や体力、装備の把握なども不十分だった。

   「(日本では)ガイドの基準が甘い。自分でガイドだと言えばガイド。アルバイトのようなガイドも見ることがある」と、スタジオゲストの登山家、田部井淳子は指摘する。

   報告書もガイドのレベルアップが急務だとしており、それに呼応するかのように、クロ現はフランスに飛んだ。なんといっても学ぶべきは先進国の事例である。フランスではガイドは国家資格であり、それも登る山やルートなどの難易度で3段階のレベルがある。無資格者のガイドは禁止だ。国立のガイド養成学校で、学生は毎日10時間もの実地訓練を行い、統率力を身につける。

   報告書はガイドばかりを問題にしていたわけではない。VTRの最後には、ツアー客への苦言を重々しいナレーションとともに紹介した。

   「(ツアー登山客)一人一人が自覚し、自立して自己責任の感性を持つことが大切で、万が一の場合、それが自らの身を守ってくれるだろう」

   金言箴言、心して聞けとでも言いたげな感じではあった。

*NHKクローズアップ現代(2010年 月27日放送「中高年登山 遭難死は減らせるか」)

文   ボンド柳生
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