【取材秘話】各チームが警戒する「第1試合」という「もう1つの敵」

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取材秘話・フラッシュバック(2)


    「第1試合のコンディションづくりは難しい」。どの監督も朝早い試合を警戒する。今年も大会2日目から、1日4試合の場合の第1試合は8時30分開始。選手たちは午前4時過ぎに起床する。運動神経がベストの状態になるには4時間から5時間を要するからだ。

    問題は前夜で、何時に寝るか。午前4時起床、睡眠時間8時間とすると、午後8時過ぎにはベッドに入ることになる。日頃、そんな時間に寝る習慣はないだろう。むしろ緊張、高ぶりなどが重なって目が冴えることになる。とくにエースの睡眠不足は試合に響く。そこで重要な役割を果たすのがマッサージ。体や気持ちをリラックスさせ眠気を誘う。

    プロゴルファーとして一時代を築いた“ジャンボ”尾崎将司。彼は徳島海南高のエースとして選抜大会で優勝した経験を持つ。そのとき「第1試合なので寝不足にならないようマッサージして早く寝たことを覚えている」との述懐を聞いたことがある。そうして難関をクリアしたという。

    第1試合に臨むチームの監督が警戒するのは時間だけではない。「奇襲」もその1つだ。神経が完全に起きていないと、一瞬気が抜けることがあり、そこを突かれることを恐れるのである。私の母校(法政二高)が1960年夏の大会で優勝したとき、準々決勝の第1試合で早実と対戦。1回裏、いきなりダブルスチールで2点を先取し、機先を制したのが奏功して勝った思い出がある。

    「相手の動きを見て、鈍いと思ったから、大胆な作戦を取った」と法政二高の田丸仁監督が後年語っていたものだった。奇襲はとっさの思いつきでは成功しない。必ず根拠がある。高校野球は“監督の目”の勝負ともいえる。

菅谷 齊




菅谷 齊(すがや・ひとし)プロフィール
1943年、東京生まれ。法政大学卒。法政二高硬式野球部時代に甲子園で夏春連覇(1960,61年)を経験。共同通信社ではプロ、アマ野球、大リーグを主に担当。84年のロサンゼルス五輪特派員。プロ野球記者クラブ、野球殿堂入り選考の代表幹事を務める。野球技術書など著書多数。現在、日本記者クラブ会員(会報委員会委員)。

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