【感涙戦評】「炎のストッパー」似の非凡な素質 勝ちを意識し崩れる

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8/9 第1試合▽1回戦▽南陽工 1-2 中京大中京
南|000 000 100|1
中|000 000 20X|2

    連覇を狙う中京大中京は流石だ、僅かなスキを見逃さなかった。1点を追った7回、先頭の福島が四球を選んだ。バントで送る。ここで小木曽が初球を左中間へ二塁打した。返球を焦る左翼手がジャッグル、カットに入った遊撃手への返球が高投となる。そのスキに小木曽が本塁を陥れた。抜け目のない好判断の走塁だった。

    白熱した試合は選手の精神面を微妙に揺り動かす。7回の表、南陽工は待望の1点を取った。これがかえって裏目に出る。マウンド上の岩本は勝ちを意識したのか、福島に1-3から四球を与えた。それまでの強い腕の振りが影をひそめ、低めを狙いすぎた投球になっていた。最小得点を守ろうとした心理が豪快なフォームを萎縮させたのだろう。つづく小木曽へのフォークボールも高めに抜けて狙われた。

連覇をねらう中京大中京は好発進

    1点に泣いた岩本だが、投手としての素質は非凡なものがある。広島カープで“炎のストッパー”といわれながら、脳腫瘍のため若くして亡くなった先輩の津田恒美投手(故人)とどこか似ている。津田投手はもっと下半身にバネがあった。岩本も努力次第では投手として大成する素材である。

    1933年の第19回大会に3連覇して以来の連覇を狙う中京はいつもながら守りが堅い。1、2回はともに併殺で切り抜けて南陽工に先制を許さない。5回の2死二塁ピンチでは岩本の右前打で本塁突入を図る目代を小木曽が好返球で刺した。攻守の両方に中京の伝統を見た試合だった。

岡田 忠


岡田 忠(おかだ・ちゅう)プロフィール
スポーツジャーナリスト。1936年広島県生まれ。立命館大学卒。朝日新聞社東京本社編集委員を96年に退職して現職。高校・大学では野球部に所属し投手をつとめる。高校野球のテレビ解説経験も豊富。

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