【感涙戦評】ピンチでもクール 重圧はねのけた九州学院のエース渡辺

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8/16 第4試合▽3回戦▽九州学院 8-7 鹿児島実
九|004 010 110 1|8
鹿|000 300 013 0|7

    九州学院のエース渡辺は、終盤もつれた展開になって球場全体が盛り上がっていたのに、表情も投球ペースも全く変わらず、実にクールに見えた。150球を超える力投だったのだが、彼の冷静さが1点差で逃げ切った最大の要因だろう。交代投手もおらず、野手の信頼を背負い、その重圧を見事に克服した。殊勲甲のピッチングだった。

    熱戦ではあったが、決勝点は意外な内容だった。延長に入ったばかりの10回表、九州学院は先頭坂井が遊ゴロ失で出塁。渡辺のバントで二進した後、9番下田の左翼左への巧打で決勝の8点目を印した。鹿児島実にすれば、そのきっかけとなった失策は、同点に追いついた直後に新たに守備についた安岡のところへ転がった緩い打球で、不安定な姿勢から一塁へ低投したものだった。代わったところへ打球が飛ぶ、とよく言うが、まさにそのジンクスが顔を出した。

鹿児島実は9回土壇場で猛反撃

    それにしても鹿児島実の反撃はすさまじかった。4-7で迎えた9回裏。先頭の投手野田が中越え二塁打してチャンスを作り、1死から4連打と内野ゴロで追いついた。2死でなお二、三塁としたが、浜田は一ゴロでサヨナラ勝ちの好機を逃した。ここで見逃せないのは投げる渡辺の落ち着き払ったマウンドさばきで、敗戦の恐怖を微塵も出さず、攻めの投球をしたことである。

    振り返って見ると、両校とも得点する機会は何度もあった。しかし、そこは投手を中心とした野手の守りを評価すべきである。九州勢同士の戦いにふさわしい、打ちも打ったり、守りも守ったり、という表現が当てはまるナイスゲームだった。

菅谷 齊


菅谷 齊(すがや・ひとし)プロフィール
1943年、東京生まれ。法政大学卒。法政二高硬式野球部時代に甲子園で夏春連覇(1960,61年)を経験。共同通信社ではプロ、アマ野球、大リーグを主に担当。84年のロサンゼルス五輪特派員。プロ野球記者クラブ、野球殿堂入り選考の代表幹事を務める。野球技術書など著書多数。現在、日本記者クラブ会員(会報委員会委員)。

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