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【感涙戦評】疲労と重圧の両エース、打力に勝る東海大相模が挑戦権

8/20 第2試合▽準決勝▽東海大相模 11-7 成田
東|201 043 001|11
成|005 100 010|7

    好投手との評判通りの投球をしてきた両校のエースだったが、疲労と準決勝の重圧からともに打ち込まれた。序盤から走者が走り回り、激しい攻防を繰り返した。結果は打力の勝る東海大相模が決勝に進み、春夏連覇を目指す興南への挑戦権を手に入れた。夏の決勝進出は40年ぶりのことである。

    東海大相模が底力を見せたのは中盤。3点差を追う5回、四死球と犠打でつかんだ1死二、三塁で大城卓の中飛は2点犠飛となった。走者がなくなった後、ここから染谷の三塁打まで3連打を集中して計4点とし逆転した。続く6回には5長短打で3点。この2イニングで8安打というすさまじさだった。瞬く間に差を広げ、これでエース一二三は落ち着きを取り戻した。終盤よたよたしながらもピンチをしのいだのも大量得点による安心感からだろう。

    成田は打線が頑張った。3点リードされた3回、5長短打で一挙5点。4回には高橋の本塁打で加点した。横手投げの一二三に対し、左打者が積極的に打ち攻略した。ただエース中川は本来のピッチングとはほど遠く、縦の変化が全くないため空振りを取ることができず、予想外の19長短打を浴びた。

成田打線奮闘も拙攻拙守からんで力尽く

    打ち負けた成田だが、ちぐはぐな攻撃、拙い走塁、緩慢な守備があり、それが勝機を逃したといえる。攻撃では4、6回の好機に主軸に送りバント失敗の後に打たせて併殺打。痛かったのは3回の走塁ミス。満塁でスクイズが安打となったのに、二塁走者が三塁をオーバーランしてアウト。ここはさらに得点が見込めただけに暴走だった。守りでは5回、染谷の一打を頭から突っ込んで後逸し、逆転の走者まで返してしまった。ワンバンドで捕球し傷口を最小限にするところだった。相手に余計な得点を与えすぎた。

菅谷 齊


菅谷 齊(すがや・ひとし)プロフィール
1943年、東京生まれ。法政大学卒。法政二高硬式野球部時代に甲子園で夏春連覇(1960,61年)を経験。共同通信社ではプロ、アマ野球、大リーグを主に担当。84年のロサンゼルス五輪特派員。プロ野球記者クラブ、野球殿堂入り選考の代表幹事を務める。野球技術書など著書多数。現在、日本記者クラブ会員(会報委員会委員)。