ふと見かけた女に恋…男はひたすら追いかける

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2010年8月7日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開後、全国順次
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2010年8月7日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開後、全国順次 公開

<シルビアのいる街で>ある男がカフェでスケッチブックを片手に、通り過ぎる女性たちを目で追っている。あるとき、我を忘れるような美しい女性を見かけ、男は衝撃を受ける。カフェを飛び出し慌てて後を追う。

   中世と近代の建物が同居するフランス・ストラスブールの美しい街並みの中で男の追跡劇が始まった。女性は誰なのか。男は何を考えているのか。監督は現在スペインで最高の映画作家ともいわれるホセ・ルイス・ゲリンだ。

気づかれたくない、いや気づいて欲しい

   とにかく説明が少ない作品である。はっきりしているのは、男が一方的に女性に恋をして尾行しているということ。つまり、男はストーカーということになる。カメラはもっぱら男の視点から撮影していて、男の尾行がいつ女性に気づかれてしまうのかというスリルが、この作品の見どころだ。

   ストーリーは単純明快。というか、「ストーリーはない」と言ってしまうことも可能な抽象的な作品である。だから、観る者の想像力をかき立てる広い意味での演出が、この映画の成功のカギを握っているのだが、その部分は「聴覚」に凝ることで観る者を画面に誘い込む。

   ストラスブールの街の喧騒や路面電車、男の足音、その「音の息遣い」が男の心理とリンクして、視覚の奥行きを助け、理屈では到達できない甘美な魅力が充満していく。

   最後までストーリーの説明はない。これを説明不足という言い方もできるが、視覚と聴覚だけの余計な邪魔がない安堵がある。比較的短い85分という上映時間だけれど、それでもやや長いと感じる。ストーリー映画ファンには余りおすすめはできない。

   ただ女性にはおすすめしたい。主人公のストーカー男がなんとも甘いマスクなのだ。一方的で情熱的なイケメンの恋の追跡というのは、視覚的に女性にはたまらないのではないでしょうか。

川端龍介

おススメ度☆☆☆

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