海老蔵追いかけて11か月 後世に残る大型歌舞伎役者が生まれつつある

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<プロフェッショナル仕事の流儀(NHK8月19日夜7時30分)>人気も話題も当代一の歌舞伎役者・市川海老蔵を11か月にわたって追いかけ、その素顔や芸への野心、精進ぶりに迫ったというドキュメンタリーですから、NHKも力が入っていましたね。「プロフェッショナル」は3月で放送終了になっているのですが、「市川海老蔵スペシャル『荒ぶる魂、覚悟の舞台へ』」とタイトルも大上段に構えてました。これだけのドキュメンタリーはさすがにNHKじゃないと作れません。

オレがやらなくてはと「伊達の十役」挑戦

   このタイミングでNHKが海老蔵の大きな番組を作った理由はいくつかあると思います。まず、あまりにハードなので長い間演じられてこなかった「伊達の十役」に挑戦しつづけていること。「伊達の十役」はひとりで十役を早変わりで演じ分ける演目で、衣装も化粧もまったく異なっていて、女形もあります。舞台で演じ舞い、舞台裏では走りながら衣装を替え化粧を変える。演技力もさることなら、ものすごく体力を要求されるわけです。海老蔵はあえてこれに挑戦して、大評判を取っているのです。

   二つ目はこの6月にロンドン公演を行い、そこで演じた「義経千本桜」が高い評価を得たこと。そして、3つめは、まあ結婚でしょうかね。でも、番組では結婚についてはあまり触れていませんでした。

   早い話が、かつてはプレーボーイで女遊びや酒に溺れていた若き名門役者が、見違えるように芸に入れ込み、将来の歌舞伎界を背負って立つ大役者に自分を持っていこうとする覚悟みたいなものが見どころでした。

   まず、海老蔵の芸に対する野心は凄いですよ。インタビューで本人も「歌舞伎には型があるので、『これじゃなくちゃいけない』ということがある。でも、それが『これでいいんだ』になりがちな部分がある」って話してましたが、歌舞伎という枠の中で新しい自分らしさを出したいというチャレンジ精神を強く持っているんですね。歌舞伎役者は20、30、40ははな垂れ小僧とも言っていました。だから、いまのうちにやれる役、演目をやりたいというわけです。

   役者や俳優は自分から役を取りにいくようでなければ伸びません。背伸びしながらその役を自分のものにしていって、「大物」と言われるようになるんです。海老蔵はすでに「大物」の雰囲気を持っていますが、個性も技量も、後々まで語り継がれるような大型の歌舞伎役者が誕生する予感させますね。

   番組としては12・9%でこれまでの最高視聴率だったそうです。まあ、それも納得です。

      天才の  にらみ冴えたる  舞台かな

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