中国、英国「ニッポンの森林を買いまくれ!」

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   要らないモノを誰かが買ってくれる。どういう理由か知らないが、高値で――。ネットオークションならこんないい話はないが、それがニッポンの国土となればまた別の問題が生まれてくる。

「日本の森林が買われていく」

   これがこの日の「クローズアップ現代」の放送タイトル。「売れる」「売れた」のではなく、仔牛のように買われ、売られて行くよ、といったニュアンスである。

アタッシェケースに札束

「中国のブローカーが、アタッシェケースに札束を入れて、森林売買に走っている」

   スタジオゲストの遠藤日雄・鹿児島大学農学部教授はそんなウワサをよく耳にする。実際、外資による森林購入は北海道から九州まで広範囲におよび、なかには高値で頬をひっぱたくようなケースもあるそうだ。「山なんか二束三文。いいチャンスだと、売るなら今だと思った」とは、山が良い値で「売れた」地主の弁。

   買い手は中国や英国などの企業。番組は香港まで出かけて行って、ある企業に森林購入の真意を聞きだそうとしたが、オーナーに会えずじまいで聞けなかったと、まるでどこかのニュースサイトのような顛末を放送していた。

   ただ、日本国内では林業が低迷し、あまり見向きされない森林だが、世界的には投資対象として魅力的と見る向きもあるのだという。買った森林を整備して木材を販売し、それによる不動産価値の向上、さらには排出権取引収入などが期待できるからだ。

「森林売買」規制緩和から規制強化へ

   こうした森林売買は一連の規制緩和のなかで、10年以上前に手続きが簡略化されて活発になり、外資の参入もはじまった。いまとなっては取り引きが簡単にできすぎちゃって、困っちゃうらしい。取り引きは事後報告でOKなので、誰が買ったかすぐに把握できず、たとえ外資が急激に手広く買収してても気づけない。

   また、森林所有者の権限が強く、森林の使い方の「規制」がしづらいという。

   カネ目的の市場原理主義による過度の森林伐採などが行われ、その結果、ニッポンの土地、水の保全に支障をきたしたとしても、重い罰が下せないのが現状だ。

   官による規制が強すぎるため、自由な経済活動が阻害され、活力が失われていたとされてきた社会主義国ニッポン。いざ規制緩和が進んでみると、今度は、ニッポンが外資に買われ、売られて危険だ、公による規制強化を――の声が高まる。

   「規制」に翻弄される森林は、悲しそうにこちらを見ているのかもしれない。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2010年9月7日放送「日本の森林が買われていく」)

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