子どもの心に傷大きい「単独親権」 欧米並み「共同養育」急げ

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   「子どもに会わせて欲しい」

   離婚して子供と離ればなれになった親たちが、単独親権制度の改正に向けて声を上げ始めた。

   夫婦は愛情がなくなれば元の他人に戻れば済むが、親子の絆は断ち切れない。年間25万件の離婚のうち6割が子供のいるカップルで、その8割で離婚後に親権を持たない側の親が子どもに会いたくても会えない事態が起きているという。

   明治以来の単独親権制度が大きな壁になっているというのだが、制度は制度としても、子どもは両親の愛を必要とする。元夫婦が共同して養育する意識改革、努力が何よりも必要だろう。

離婚後8割が「子どもに会えない」

   ゲスト出演した小田切紀子教授(東京国際大学)はこう語る。

   「夫婦としての愛情はなくなっても、子どもには愛情はあるんだという親のメッセージは生涯欠かせない」

   しかし、現実には全くの『片親』になってしまうのはなぜなのだろう。単独親権制度のもとでは、親権を失った親が子どもに会うには、親権を持つ親の合意が必要だからだ。 子どもに会えない親は、思い余って裁判所に調停や審判を求めるのだが、その数は2009年で7972件。10年間で3倍に増えている。

   番組がトラブルの実態を追った。関西に住む男性は4歳になる息子と自由に会えることを条件に離婚に同意した。しかし、1年以上も息子に会っていない。

   何度も息子に会わせるよう元妻に申し入れたが、そのつど拒否され、やむを得ず裁判所に訴えた。1か月に1度6時間だけ息子に会うことが認められたが、元妻はこの決定に従わなかった。現在、男性は最後の手段として、元妻を相手に損害賠償請求の訴訟を起こしている。

   親が自分の子供に会えないのも辛いが、一番つらいのはやはり子どもだろう。番組ではさらに、子どもたちがどのように傷ついているのかを追った。

   小学1年生の時に両親が離婚した女性。その後、父親とはほとんど会わなくなり、同居している母親とは性格が合わずケンカばかり。

「自分は価値ある人間じゃないから、もういいやという気持ちが絶えずあって自暴自棄になり、何の計画性もなく、行き当たりばったりという感じだった」

   20歳になって父親と10年ぶりに会ったことが転機になった。

「父と夜を徹して飲みながら話したら、考え方など何もかもそっくりで、プラスになることがたくさんあった。お父さんそっくりだったんだと知った時、この性格は自分の個性なんだと思えるようになったんです。
そして、父親に似ているから母に否定されてきたんだと気付いた。知っていれば苦しまなかったのに…」

『両親』から愛されているという体験

   キャスターの国谷裕子の「大きくなるまで影響は続くんですね」という問いに、小田切教授は子どもが受けるそうした心の傷を次のよう指摘する。

   「子どもにとっては、今日の生活が明日も続くという安心感のもとに暮らしている。離婚によってそれが根底から崩れるわけで、まして離れて暮らす親と会えないとなると、自分は愛されていないのではないか、自分はいらない子供だったのではないかと、自己肯定感が低下してしまう。ウツになるケースも見てきました。

   子どもには両親から愛されているという体験が必要で、面会交流は子どもの権利。親は保障する義務がある」

   「では、どういう制度をつくるべきか」という国谷キャスターの問いに小田切教授は次のように言い切った。

「欧米では、離婚するときに面会交流や養育費など、子供の養育計画を立てて提出しないと離婚は受理されません。日本でもそういう制度に変える必要がある」

   日本の場合、母親が親権を持つケースが圧倒的に多いが、最近では母親の交際相手による子どもへの虐待事件も多い。もはや待ったなしである。

*NHKクローズアップ現代(2010年9月8日放送「親と子が会えない~増える離婚家庭のトラブル~」)

モンブラン

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