野島伸司の「人間描けぬ脚本」で自滅 主演級の俳優もったいない

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「GOLD 第10回」(フジテレビ)2010年9月9日22時~

   とにかく、何を描きたいのか1回から10回まで見てもさっぱりわからないドラマだった。それでも最初の頃は女社長・早乙女悠里(天海祐希)の教育論や家族論に見どころもあり、とぼけた3枚目の秘書・新倉リカ(長澤まさみ)が舌っ足らずの長澤に適役で、淡い期待もしたのだが、回を追うごとにずっこけた。
   つまり、脚本家の野島伸司が相変わらずなのである。彼は昔、エキセントリックな筋立てのドラマで高視聴率男と言われたが、結局は設定の奇抜さや激しさなどの材料に頼り過ぎて、じっくりと人間の真実を見つめて描くという基本的な修行をして来なかった。今回もオリンピックで子供に金メダルを取らせたい母などという、下手をすればマンガになってしまう女を主人公に据えてしまった。
   コメディならいざ知らず、大マジで「早乙女家の宿命」というセリフが出てくると、薄ら寒くなる。背景をしっかり描いた文学における「華麗なる一族」とは違い、チャラチャラした促成栽培のテレビドラマでは絵空事の極みなのだ。しかも、水泳コーチ(反町隆史)や別居中の亭主(寺島進)や、登場人物の交通整理もままならない。
   視聴率も7%あたりをウロウロしていて、フジの看板番組としては落第。要素によりかかったツケだ。視聴者はずっと利口になっている。主演級の俳優を掻き集めているのに勿体ない。スタッフに言いたいのは、洞察力をもってもっと人間を見つめろということだ。

黄蘭

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