「菅対小沢・第二次戦争」年末12月勃発の予感

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   206対200。菅直人総理大臣と小沢一郎前幹事長を支持した国会議員の数は、ほぼ同数と見ていいだろう。なぜなら、菅圧倒的優勢と報じた新聞の世論調査で、勝馬に乗ろうと、無記名をいいことに、小沢派面をして寝返った議員が多くいるはずだからだ。

   小沢支持の200という数字は、逆風の中で結束した議員だから、民主党内は完全に二分されたというより、圧倒的な小沢派が、菅政権とどう対峙していくのかがこれからの焦点になる。

   15日(2010年9月)の菅と小沢の会談は、協力してくれと頼む菅に、「どうぞご勝手に」と小沢はにべもなかった。菅対小沢の第二次戦争勃発の予感である。

立ち往生の勝者 強力パワー温存の敗者

   先週、青木愛参議院議員の「小沢との京都の疑惑の一夜」(週刊文春)、「小沢の政策秘書との不倫お泊まり」(週刊新潮)をスクープして、大量の党員票とサポーター票を菅にプレゼントした両誌だが、それでは目出度く、菅再選で「菅総理万歳」記事をやるのかと思ったが、そうではない。週刊誌はネタがあればなんでもやる節操のないメディアであり、そういうところが、私は大好きだ。

   「手負いの小沢一郎が民主党をぶっ壊す」(文春)、「凱旋『菅総理』に3ヶ月で『小沢一郎元幹事長』の逆襲」(新潮)と、早ければ菅内閣は3ヶ月で潰れるというのだ。

   内容は大同小異、12月に年を越せない中小企業がバタバタ倒産する。そこで小沢が新党を立ち上げ、政界再編の新たな結集軸として『救国内閣をつくる』という旗印を掲げれば、他の野党も乗りやすいと語るのは、文春の民主党関係者。

   参議院で民主党は過半数割れしているから、来年3月、予算関連法案は絶対通らないと小沢はいっている。検察審査会の議決がシロだった場合、小沢は3月にあるであろう代表選に再び立つか、誰かを立てるかもしれない。勝ったら、公明党と中連立か自民党と大連立すると読むのは、新潮の政治解説者・篠原文也氏だ。

   どちらにしても、菅ではなく、小沢を軸に政局は動いていく。「週刊現代」の「プロはこう見る 早野透×後藤謙次『勝っても負けても小沢一郎ということ』」が、代表選の結果が出る前の対談だが、興味深い。

<早野 菅さんが勝てば、小沢排除で突き進むしかない。内閣支持率が上がったのも、政策じゃなくて、それが要因ですから。そうなると、小沢さんは当然、党内野党になる。

後藤 ええ、敗者とはいえ議員票を背景にして強力なパワーを持つでしょうね。しかも、国会対策委員会や予算委員会など国会の枢要なポストは親小沢が占めているから、国会審議でも菅さんを追い詰めることができる。(中略)

早野 とにかく今回の代表選で明らかになったのは、小沢一郎というブラックボックスがなくなったことと、小沢一郎は死なずということですな。

後藤 そうそう。勝敗にかかわらず、政治とカネの問題については党内の禊ぎは済んだし、負けたとしても政策や資産に関する批判に耐えられるような準備をする時間ができた。もしも菅さんが立ち往生して政権が倒れた場合、反小沢グループが菅さんに代わる統一候補を立てて戦うことができるるかどうか。それが失敗に終われば、今度は無投票で小沢代表・総理が生まれるかもしれませんね>

   小沢支持派だった週刊現代、週刊ポスト、週刊朝日。中立かと思われた週刊文春、週刊新潮が、スクープをエサ(?)に反小沢に寝返ったかと思われたが、元の立ち位置に戻り、非小沢、反菅政権路線をとるようだ。これから週刊誌の報道がどう変わっていくのかも、注視したい。

尖閣衝突「政府は速やかに体当たりビデオ公開しろ」

   代表選の間、円高は進み、尖閣列島を巡る日中の軋轢は緊張感を増してきている。遅きに失したが、政府・日銀がやっと円売り・ドル買いの為替介入に踏み切り、東京市場での円高・株安の流れにひとまず歯止めがかかったが、まだまだ予断を許さない。

   文春は「日中激突の最前線『尖閣』で何が起こっているのか」という富坂聡氏のレポートを載せている。

   尖閣諸島から北西15キロ。違法操業中のトロール船が停泊命令を振り切って逃走し、激しい追跡の末、海上保安部の巡視艇「みずき」に2度衝突した。公務執行妨害の容疑で、中国側の漁船の船長に逮捕状が請求されたのが9月8日の午前だった。

   中国側の市民たちの反発は想定範囲だが、逮捕当日、船長の祖母が死亡したことにより、メディアも日本に厳しい論調になっている。事実がねじ曲げられ、漁師たちに一般人も加わった1000人近くが地元政府を取り囲み、船長の奪還と魚釣島での漁を補償するよう宣言しろと政府に求めたという。

   中国政府は13日、要人の訪日を延期した。感情的な対応をとる中国に対して、富坂氏は「日本は速やかにビデオを公開し、適正な法執行であることを訴えるべきだ」という。

   船長の不可解な行動の裏には何があるのか。尖閣を日中の紛争の火種にしないためにも、政府の迅速な対応が求められる。そのために、日本国民もこの問題にもっと関心を持つべきだろう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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