この夏の「スーパー猛暑」1万年に1度の異常気象の前触れか

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   2010年の日本は「100年を超える観測史上最も暑い夏」となり、熱中症の犠牲者が相次いだ。異様な夏に悩まされたのは日本だけでない。モスクワの気温は平年より10度以上も高く、ロシア各地で森林火災が多発した。また、パキスタンや中国は洪水に見舞われ、多くの被災者が出ている。「クローズアップ現代」は地球規模の異常気象が起こるメカニズムに迫った。

インド洋の熱波と太平洋高気圧が合体

   異常気象の要因の1つは太平洋、インド洋、大西洋の海水温の上昇。スタジオゲストの向川均(京都大学防災研究所教授)によれば、エルニーニョ現象によって太平洋、インド洋の海水温が上がることは知られているが、大西洋まで上昇することはあまりないという。ところが、今年はいずれでも過去最高を記録し、強力な高気圧を発生させたようだ。

   インド洋の熱い大気が、日本に居座る高温の太平洋高気圧と合体して日本をより暑くし、大西洋高気圧のエネルギーがロシアに猛烈な暑さをもたらしたらしい。

   もう1つの要因は偏西風の大蛇行。巨大な高気圧のため、ロシア上空を西から東に流れる偏西風が大きく北に片寄り、高気圧の東側では今度は南に回り込んで中央アジアで低気圧が南下、インド洋から北上した温かい空気とぶつかってパキスタンや中国に大雨を降らせた。その蛇行がベーリング海峡上空では北に向かった。このため太平洋高気圧は北からの妨害を受けずに日本上空を覆い、「スーパー猛暑」となった。

極端な冷夏と紙一重

   興味深かったのは、2003年にも今年と同じような偏西風の蛇行が見られたが、そのときは冷夏だったという話。蛇行がやや西側にズレテいたために、オホーツク海上にできた高気圧から吹き下ろす風が海で冷やされ、日本に流れ込んで夏の太平洋高気圧を退けたという。

   この微妙な変化を指摘する立花義裕(三重大学教授)はこう解説する。

「温暖化傾向が続けばジェット気流(偏西風)も強まる。そのジェット気流が蛇行して、あるときは猛暑に、あるときは紙一重で冷夏になる。つまり極端な異常気象が起こりやすくなる」

   向川教授も「100年に1度とか1万年に1度というものが頻繁に起こる可能性がある。地球温暖化が進んでいると認識した方がいい」と警告する。温暖化による報復を受けつつあるということだろうか。

   番組後半で、異常気象に対応する農作物の開発に取り組む人たちの姿を紹介したが、中途半端のように思えた。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2010年9月16日放送「異常気象はなぜ起きた」)

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