体当たり中国船「スパイ船説」…日本の出方試す「仕掛け」の臭い

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   朝日新聞が冤罪だと追及していた厚生労働省の元局長村木厚子氏(54)の郵便不正事件。村木氏にはめでたく無罪判決が出たが、彼女を取り調べていた前田恒彦大阪地検特捜部検事(43)が、押収したFDのデータを書き換えた証拠隠滅容疑で逮捕されてしまった。

   前代未聞、特捜検察の威信は地に堕ちた。また、最高検は前田容疑者が上司に改竄したことを報告していたのではないかと見て、大阪地検特捜部前部長の大坪弘道・京都地検次席検事と、同部前副部長の佐賀元明・神戸地検特別刑事部長から事情聴取を始めた。

   特別捜査部というのは、東京、名古屋、大阪にあるが、大阪はこれまで、最高検も口出しできないほど結束力が強かった。

   「司法界には、東京地検や東京高検を擁する関東の検察に対し、大阪高検管轄内の関西検察という言葉がある。近畿から九州までの西日本の検察人事に関し、東京サイドの最高検による口出しを許さない。東京から離れ、関西出身の検察首脳で人事を決めるしきたりがあった」(森功著『ヤメ検』〈新潮社〉より)

   以前、大阪・東京の両地検特捜部で鬼といわれ、検察を辞めてからは「闇社会の守護神」と称され、ヤメ検の代表だった田中森一氏が、私にこう言った。

「検察がやろうとしたら何でもできる」

   密室で自白するまで容赦なく責め立て、押収してきた証拠品まで自分たちのストーリーに合わせて改竄する。無辜の人間を有罪にするのも、彼らにとっては容易いことなのだ。

   ある元特捜部長のヤメ検が、テレビでこう言っていた。検察官にはクリエイティブな能力も必要とされるのだと。それはクリエイティブではなく、でっち上げの能力ではないのか。

   菅直人首相は、「最高検が厳正に捜査をし、厳正に対応をするといわれているから、そうあるべきと思う」などと寝惚けたことを言っている場合ではない。即刻、取り調べの可視化に踏み切るべきだ。そうしなければ冤罪はなくならない。

創価学会・池田名誉会長「異変」 私が聞いた情報では…

   今週始め、元公明党の最高幹部だった人間と酒を飲んだとき、池田大作名誉会長に大変なことが起きていると聞いた。

   同じ話を「週刊新潮」がやっている。公称会員数827万世帯、日本最大の宗教団体「創価学会」に君臨する池田名誉会長が、5月13日の式典に現れてから4か月間、創価学会の機関紙『聖教新聞』紙上からふっつりと消えてしまったのだ。

   82歳という高齢から健康問題が囁かれるのは致し方ないところだ。かなりの重病ではないかという説から、すでに昏睡状態にあるという公明党関係者がいる一方、夫人が体調を崩し、夫人想いの名誉会長が、一緒に公式行事に出られるまで出席を見合わせているというものまである。

   私が聞いた情報では前者で、しかも相当深刻だという話だったが。

   不謹慎な話で恐縮だが、創価学会のカリスマにもしものことがあったら、後継者は誰になるのか。新潮によるとそれは、「長男・博正氏、三男・尊弘氏、そして、池田ファミリーに実権を握られたくない勢力である」としている。

   最有力なのは、SGI(創価学会インターナショナル)会長の博正氏だそうだが、池田会長側近の大物幹部たちは尊弘氏を可愛がっていて、いまだにわからないようだ。

   しかし、誰が後継になっても、池田会長のように800万世帯を束ねていく指導力やカリスマ性はあるはずがない。政党も抱える大宗教団体は、近々、大きな転換期を迎えそうである。

緊張状態作りさらなる強硬手段

   転換期といえば、日中関係も大きな転機を迎えている。日本が領有を主張する尖閣諸島沖で、中国のトロール漁船が石垣海上保安部の巡視船に衝突した事件で、船長を逮捕したことから、中国側の反日気運が急速に高まっている。

   「週刊文春」は、日米の情報のプロたちが件の漁船は「スパイ船」ではないかと疑っているという。その理由は、漁船の大きさが、これまで出没していた漁船とはかなり違うからだ。「もしそうであれば、トロール漁船を仕切っていたのは船長ではない。船員に偽装した中国情報機関員か政治士官が存在するはずだ」(文春)

   そして、その後の中国政府の抗議の姿勢に、その疑いを濃くしたという。なぜなら、丹羽大使を呼びつけた国務委員は「人民解放軍の諜報機関『参謀部2部』と一体化した『裏外交』の最高責任者」として認定されている人物なのだ。中国側の目的についてはこう書いている。

「日米の情報のプロたちは、トロール漁船の事件が、中国政府による『作戦』の可能性が高いと判断している。つまり、ごく近い将来、尖閣諸島の実効支配の作戦を意志決定して、どこまでやれば日本はいかなる手段に訴えるか、その対抗措置を作成するために諜報機関が指揮した『仕掛け』ではなかったのか、そのため、突撃しても支障のない大型船を用意したのではないか」

   緊張状態を意図的に作り、さらなる強硬手段に中国は出てくると読む。

   私が行くはずだった10月中旬の日中友好団体旅行も、中国側の要請で中止になった。日本への中国人旅行者も激減しているようだ。

   新潮で、京都大学大学院の中西輝政教授はこう語っている。

「船長を国内法で裁くのは当然のことですが、そうなれば中国はガス田の掘削を始めるかもしれない。そこで、日本が対抗措置で試掘を始めれば中国は確実に軍艦を出してきます。対する日本も海上自衛隊の護衛艦を出動させなければならない。菅総理には、そうやって中国と対峙する覚悟があるのでしょうか」

   かつて旧ソ連のゴルバチョフ元書記長は「外交に敵も味方もいない。あるのは国家利益だけだ」と言ったという。

   私は、大国化・覇権主義化する中国に対抗するには、日米韓がまとまっていくしかないと思う。さて、考え方は文春・新潮に近いと思われる新任の前原外相が、どんな手を打つのか。ひとつ間違えば日中関係はさらに危ういことになりかねない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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