白鵬「双葉山と相撲取ってる夢見た。どっちが勝ったかって…」
1枚の写真。スリムな少年が上半身はだかで馬の手綱を握っている。赤江珠緒キャスターが「13歳のこの少年が、12年後には…」と絵が変わって、土俵入りする横綱白鵬の姿。「押しも押されもせぬ横綱になりました」
先の秋場所で、双葉山に迫る62連勝、4場所連続の全勝優勝を達成した第69代 横綱白鵬(25)に、小木逸平アナがインタビューした。これがなかなか含蓄があるのだ。
「厳しくかわいがられたのは私が最後だろう」
父はモンゴル相撲の大横綱。メキシコ五輪のレスリングで銀メダルもとっている。そのDNAを信じて15歳で日本に来た。だが、当時は身長175・6センチ、体重62キロだった。小木が「私より痩せてるくらい」という。
「親方に牛乳飲めと言われて、日に5リットル飲んでました。酒の飲み過ぎで吐くのは楽だけど、食べ過ぎで吐くのは苦しい。先輩にバレて『吐いたな』『ハイ』『もう一回食べろ』と言われて食べた」
「いま相撲界はいい方向にいっている。厳しくないから。厳しくされたのは私が最後かな。よく可愛がられました。いまは手を出しちゃいけないから。
だから、強くなる子がいるか、難しいね、普通の稽古でもある程度はいくが、私みたいなのが出てくるか、ちょっと厳しいんじゃないか。
双葉山関が69連勝、私が69代横綱という縁でがんばると言っていたが、もう近いところまで来ちゃいましたね。秋巡業の旅館で、(双葉山と)相撲をとる夢を見た。すごいリアルな夢でびっくりした。勝ったかって、それは秘密です」(笑い)
小木アナ「涙を流したことが2度 ありましたね」
まず名古屋場所。「相撲がなくなればこの国が終わると思ってますから、賜杯がなくちゃいけない。その意味で悔しいというか、つらかった」
小木アナ「相撲がなくなれば…というのはすごい言葉だ」
「1300年の歴史を残したい」
この思いは、近著「相撲よ!」にも記されている。
「(改革は)強くなること。そうすれば変わってくる」
「朝青龍関がいても(連勝記録)できる」
もうひとつの涙が朝青龍の引退のとき(2010年2月4日)。
「初めて金星をとった時のことが昨日のように出てきて、最後の方ではいい刺激を受けながら自分を燃え立たせるものがあった。その人がいなくなっちゃうというので、変な気持ちになった」
その朝青龍についてはどう思っているのか
「相撲をスポーツにしちゃったとも思うが、最高のスポーツ選手だった。勝負に対する姿勢はすごいものがありましたし、自分にないものもある。学んでいきたいなと」
小木アナ「1人横綱だから勝ってるという声もある」
「朝青龍関がいてもできるんじゃないか、というのはありますけど…」
小木アナ「強さとはなんですか」
「運かな。運は努力した人にしか来ないから」
小木があらためて解説した。「運と聞いて、エッと思ったが、取り組みでは勝っても負けてもいいやくらいの気持ちでいるらしい。しかし、自分はとてつもない努力をしているという自信なんですね」
落合恵子(作家)「聡明な好青年ですね」
鳥越俊太郎(ジャーナリスト)「相撲とスポーツの話ね。彼がよくわかった」
小木「この人以上に相撲を愛している人はいないんじゃないかと思った」
森永卓郎(経済アナリスト)「久米宏さんとビートたけしさんに『なぜ成功したか』と聞いたことがあるが、2人とも運だ、ただし運は変えられると言ってた。やっぱり成功する人というのは、努力で運を作り出すのかも」
落合「25歳ですよ。わたし25歳のとき何をしてたか」(笑い)