2024年 3月 19日 (火)

特捜検事を「無理筋ネタ」に走らせる誘惑と落とし穴

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   国谷裕子キャスターは番組冒頭で「特捜検察」をこう批判した。

「特捜部は数々の政官財の癒着を明るみにし、社会変革の機運もつくってきた。が、いま、真実や正義をねじ曲げてでも手柄をあげる、身内をかばい自分たちの組織の体面を取りつくろおうとする傾向が強いのではないか。自らを律する能力を失ったかに見える特捜部の信頼失墜は、司法制度そのものへの不安に結びつく」

軌道修正できない組織

   部長、副部長、主任検事の逮捕に発展した「大阪地検特捜スキャンダル」。主任検事の証拠改竄を隠蔽した疑いで逮捕された前特捜部長の「光と影」が語られた。

   大物政治家を有罪にした東京特捜時代の活躍、完全黙秘していたオウム真理教幹部にサリンの製造方法を自白させ、「割り屋」と呼ばれた実績を買われて大阪特捜部長に昇進。しかし、詐欺の疑いで起訴したリース会社元社長の裁判で、「供述を無理に得たように推認される」として無罪判決を下された「傷」も抱えていた。今回の事件の根はすでにあった、と言いたいように見える。

   「無理な供述」に走りがちな特捜検察の体質については、「構図を簡単には軌道修正できない組織の危うさ」(ナレーション)を元検事たちに語らせた。

「捜査方針に異を唱えると『何を言っとるか』と叱られる」
「主任検事の意向にそった調書をとってきた検事が評価される」

   その「危うさ」の背景を語ったのは宗像紀夫・元東京地検特捜部部長だ。

「特捜部として形に残るような、政治家なり、官僚なり、企業トップなりの事件をやりたいという強い意志はある」

   そして、社会が複雑化して事件の摘発が難しくなるなか、「端緒が見つかったらそれに飛びついてムリしてでもやろうとするのではないか」と宗像は話す。

   こう見てくると、「大阪地検特捜スキャンダル」は起こるべくして起きたと言えるような気がする。特捜、ひいては検察全体の立て直しは容易でなさそうだ。

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