2024年 4月 19日 (金)

オランウータン・ゴリラに優しい「チョコレート」「携帯電話」ビジネス

   地球上には多様な生物がいるが、人類がのさばるにつれて、絶滅に追いやられる生き物が増えてきた。いまでは年間4万種を超える生き物が絶滅しているそうで、これは地球の歴史上、最悪のペースなのだという。

   そんななか、生物多様性に配慮しない企業の経済活動に対して、厳しい目が向けられ、ビジネス上のリスクになるケースも出てきたそうだ。

原材料調達で森林伐採・鉱山開発

   今春、国際的な環境保護団体(映像によれば、グリーンピース)がある批判キャンペーンをはった。矛先は大手食品会社(映像によれば、ネスレ)。インドネシア、マレーシアの熱帯雨林が過剰、違法に伐採され、かわりに油椰子が植えられている。チョコレートの原料であるパーム油を取るためだが、ネスレがそうした悪しき材料を使用しているというのだ。

   マレーの森は、森の人ことオランウータンの住み処である。つまり、チョコ(たとえばキットカット)をつくるためにオランウータンが死んでる、いやキットカットが彼らを殺していると、キャンペーンビデオ(http://www.youtube.com/watch?v=ToGK3-2tZz8&NR=1)は訴える。

   番組内では紹介されなかったが、もっとえぐいバージョン(http://www.youtube.com/watch?v=QV1t-MvnCrA)もある。仕事に疲れた会社員らしき男性が「Have a break?」(キットカットのコピーと思われる)と、取り出したキットカット。しかし、それはチョコではなく、なんとオランウータンの指。ギブ・ミー・ア・ブレイクという感じだが、男性は気づかずに食べてしまい、赤い血が飛び散る。ここではキットカットを食べるあなたもオランウータン殺しの明々白々な共犯者であることが強調されている。  このキャンペーンは大成功をおさめたようだ。食品会社には消費者からの苦情(「オランウータンを殺すな」「今後、ネスレ製品は買わない」など)が殺到し、2か月で30万件に達したそうな。結局、この会社はパーム油の調達先を見直し、「生物多様性に配慮した原料だけを使う」ことを目指すことになった。

「ヨーロッパの消費者は、自分が食べるお菓子の由来を心配するようになった。チョコはおいしいが、その陰でオランウータンが死んでしまっているなら、チョコを食べたくないという人が急に増えてきた」(足立直樹・環境コンサルタント)

   キットカットがオランウータンを殺すとしたら、ケータイ電話機はアフリカのゴリラを殺しているらしい。コンゴではケータイに使われるレアメタル鉱山開発で森林伐採が進み、ゴリラが危ないという。

   環境保護団体はケータイなどの電器(機)メーカーに、生物多様性に影響を与える材料を使わないよう求めている。第二、第三の食品会社(ネスレ)が生まれる日も遠くなさそうだ。

ボンド柳生

   * NHKクローズアップ現代(2010年10月12日放送「生物多様性がビジネスを変える」)

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