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『反日デモ』でガス抜き―中国政府の巧みな誘導と危機感

   中国で反日デモが広がり、若者たちが暴徒化している映像が流される。成都市のイトーヨーカドーでショーウインドーのガラスを割られ、西安市ではソニーの看板が引きはがされ、綿陽市ではトヨタ車がひっくり返された。

   綿陽市に入った現地記者によると、大通りを埋め尽くした群衆が興奮して車を破壊しても警察は黙認していたという。中国外務省の報道官は「一部の群衆が日本側の誤った言動に対して怒りを表わすのは理解できる。合法的、理性的に愛国の熱情を表現すべきだ」との談話を発表したとされる。

学生の就職難、土地の取り上げ

   中国事情に詳しい富坂聡(ジャーナリスト)は、反日デモが飛び火する裏には、経済発展の陰で多くの大学生が卒業しても就職できない現実があり、その不満がエネルギーになっている話す。

「中国政府は反日デモが拡大すれば、反政府につながるという強い危機感を持っている」

   スタジオの鳥越俊太郎(ジャーナリスト)は、1990年代半ばから2000年代初頭にかけての江沢民時代の「愛国教育=反日教育」が背景にあるとの見方だ。「本来、学生、若者の就職難、土地を取り上げられるなどの社会問題に対する不満のはけ口は、政府に向かうところだ。しかし、彼らには反日教育が体に染みついている。今は日本に向けられている不満が政府に向かうと困ったことになる。そこに神経を使っているのが現状」と指摘する。

   田中喜代重(弁護士)は「ノーベル(平和)賞の中国人受賞の際はテレビをバチッと止めた。今回の映像は流れている。反日をガス抜きに使ってコントロールしているのでは」と語った。

   キャスターの赤江珠緒が「反日感情が澱のように溜まって行くと怖い」と結んだ。

   一方では、中国の富裕層が東京・銀座の不動産を買いあさっているとも伝えられる。彼の国はどこへ向かおうとしているのだろうか。