2024年 4月 19日 (金)

監視カメラ野放し…犯罪防止かプライバシー保護か

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   「エッ!」と思う光景だった。女性がフェンスの上にいたネコをゴミ箱に放り込んで立ち去った。これがネコの飼い主の防犯カメラに写っていた。先月、イギリスでの話だ。

   怒った飼い主は、映像をネットの動画サイトに投稿。女性はたちまち特定されて、誹謗、中傷と過熱報道の果てに銀行員の職を失った。当時女性は、父親が危篤状態で、精神的に不安定だったことがわかった。これで疑問の声があがった。

「彼女のしたことは誉められないが、人生を台無しにするほどのことか」

   矛先は防犯カメラそのものにまで及ぶ。

   イギリスは全土で420万台という防犯カメラ王国だ。目的は犯罪防止、とりわけテロ対策にある。しかし、撮られる側の人権はどうなっているのか。

住民同士のトラブル増加

   防犯カメラは日本でも急速に普及していて330万台といわれる。NHKのスタッフが東京・渋谷駅からNHKまでの800メートルの間を数えたら、見つけただけで243台。うち31台は警察と自治体が設置したものだった。繁華街ではほぼ10メートルに1台あった。

   いまや駅のホームからコンビニ、タクシー車内、住宅地にまで及ぶ。防犯カメラは2000億円市場といわれ、5年前には一式数十万円したものが、いまや1万円を切るカメラもある。

   これによってたしかに防犯の実はあがっているが、一方で本来の使い方とは違うプライバシーの侵害やネットマニアの道具にもなっている。しかし、カメラの設置や使い方を規定する法律はないから止めようがない。

   東京・成城警察署は業者と連携して、月1万円でカメラを貸し出している。5年間で約900台、29件の犯人検挙につながった。自宅に4台設置するという現場では、成城署員が「道路まで写るように」と要望していた。すると、 近所の男性が「やめてくれ」と言ってきた。

「圧迫感がある。道を歩いていて監視される」
「これは自分のためにつけているので、犯罪の抑止になる」

   設置する男性との押し問答。警察は「賛成も反対もあるが、犯罪は減っている」

   西原博史・早大教授は「どちらのいい分も正しいところがあって、どう折り合いをつけるかわからないのが現状」という。

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