介護サービスが使えない!認知症気味の夫が「保険料未納」

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   NHKが今年10年目を迎えた介護保険制度について調べるため、全国の地域包括支援センター4200か所にアンケート調査を実施した。その結果、介護サービスが必要と思われるのに、利用してない(できない)人が少なくとも3万8000人いることがわかった。他人の世話になりたくない、認知症で自分が要介護だと認識できない、経済的な問題――などがその理由として挙げられるという。

   「クローズアップ現代」では、レ・ミゼラブルを地でいくようなケースが取り上げられていた。写真店を営んでいた夫婦。約3年前、20歳年上の夫が脳梗塞で倒れた。認知症の兆候もあり、要介護1に認定された。写真店の売り上げは低迷し、借金も抱えて店をたたむことにした。妻は他所で働くことにし、その間、夫をデイサービスに頼もうと思った。

   だが、月3万円のデイサービス利用料が払えない。本来は1万円だが、夫が7年間介護保険料を支払っていなかったために、ペナルティ的に負担額が3割負担になってしまう。親族に借金して未納分を払おうとしたが、さかのぼって払えるのは2年分だけだという。

厚労省「むやみに救済できない」

   おぼつかない夫をひとり家に残して、彼女は働かなくてはいけない。「なんのための介護保険なのか」「これからどうなっちゃうのか」と泣き崩れる妻。夫はそんな妻を見るが、あまり状況が飲み込めてないようだ。

   このVTRを見て、国谷裕子キャスターが「いまのご夫妻ですけど、これはなんとかならないものですか」と取材にあたった記者に問いかけるが、それも詮ないこと。「保険である以上、きちんと保険料を払っている人との公平性を考えると、むやみに救済できない」というのが厚労省のご立派なご見解だそうだ。

   10年前、来たる超高齢化社会への切り札的存在として導入された介護保険。しかしその実体は、認知症の夫を抱え、慣れない仕事につかなければいけない、絶望しかかっててもおかしくない人一人助けることもできないユニバーサルサービスなのである。

* NHKクローズアップ現代(2010年10月26日放送「介護保険『置き去り』」3万8000人)
文   ボンド柳生
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