記者に見えない賀来千香子、力不足の脚色…原作生かせぬ記念ドラマ

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「夏樹静子作家生活40周年記念 天使が消えてゆく」(テレビ朝日)2010年10月30日21時~

   原作を大昔に読んだ時には面白かったと記憶するが、このドラマは全くの期待外れ。夏樹が描こうとした母性の悲しさ激しさはこちらに響いてこないし、スタート直後に狂言回し役の新聞記者・砂見亜紀子(賀来千賀子)が飛ばされた地方支局で、やる気を失っている様子も散発的で説得力がない。第1、賀来はどこかの若奥様風で新聞記者には見えない。脚色(坂上かつえ)も力不足である。
   街ダネで載せた心臓病の赤ん坊を、わが子のように気にかけている亜紀子は、母親の神崎志保(京野ことみ)が家は乱雑、子より男で夜の仕事に出かけてしまうので、母親失格ではないかと心配して関わりを持つ。そこに、ホテルで私立探偵が殺され、次いで、地元の有力者(長門裕之)が毒殺され、最後に志保も死んでゆく。
   片方は連続殺人の謎解き、片方は育児放棄に近い若い母親・志保に振り回されてゆく亜紀子の動きが2本立てで進むのだが、番宣で「衝撃の結末・・・」風な文言があった割には衝撃でも何でもない終わり方である。志保の残した遺書的手紙が、実は愛に溢れた母親だったというのだが、蓮っ葉な志保の言動と、手紙の書き方にはあまりにも乖離がありすぎて、はっきり言って白けた。
   ナントカ記念と銘打ったドラマが往々にして出来損ないになるのは、古い原作に引っ張られて大胆な換骨奪胎が出来ないからである。人間心理は時代を超えて普遍的なものを描けると思えるのだが。

(黄蘭)

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