2024年 4月 19日 (金)

「『もしドラ』より100倍有益でおもしろい」 小気味良い必読書評はコレだ

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   柳田法相が辞任に追い込まれたことで、菅・仙谷内閣の命運は風前の灯火のようだ。それでなくとも2010年11月初旬に時事通信社が実施した世論調査で、菅内閣の支持率は10月に比べて11・4ポイント低い27・2%に急落した。もはや危険水域である。

   毎日は、公明党の出方によっては菅総理はパニくって1月解散にでるかもしれないと読み、方や小沢一郎は、政党助成金を軍資金にして「分党」する構えで、菅政権の破れかぶれ解散への備えを始めたと書いている。

仙谷長官に大胆発言のススメ

   仙谷官房長官の「自衛隊は暴力装置」発言にもドキッとさせられたが、新潮によれば、この言葉はドイツの社会学者マックス・ウェーバーが学術的に使った言葉で、言葉自体は問題ないという。しかし、ロシアの革命家レーニンが暴力革命の理論づけにこの言葉を使い、「左翼全体主義者にとって『暴力装置』たる軍隊は、国外への侵略、もっと重要なのが、国内統治のために使われます。即ち『国内の反対者を排除するための暴力装置たる軍隊』というのが、共通の力学、軍隊観です」(遠藤浩一・拓殖大学大学院教授)。われわれ70年安保世代にとっては、なんとも懐かしい言葉だが、仙谷さんて根っからのサヨクなんだから、「赤い官房長官」の神髄を見せて、「インターナショナル」でも唄いながら「国会を革命の拠点にする」ぐらいのことをいったらどうか。極々一部の熱烈な支持は得られると思うがね。

   このところ大特集主義で、月刊誌のようになってきた現代が、2週続けて「日本頑張れ」特集を組んでいる。

   先週は「知っておきたい日本のこれから」で、生活水準はアメリカより上、政治はダメだが民間の力は世界ナンバーワン、首相が次々交代しても日本のブランド力は揺るがない、中国とは民度が違う、こんなに住みやすい国はないと、自信を失っている日本人に「元気を出そうぜ」と檄を飛ばしている。

   今週も「本当は強いニッポン」の冒頭で、アメリカのテレビ局CNNが11月13日から1週間ぶち抜きで日本特集を組んだことを紹介している。

   CNNの東京支局スタッフが企画意図をこう説明している。

「日本の人々は元気を失っているようですが、外から見れば、まだまだ日本は伸びる可能性があるし、そのための工夫もあらゆる分野で行われている」

   特集の中で、中国との「民力」比較を表にしているが、確かに、国民1人当たりの所得は、日本3万9632ドルで中国は3213ドル。GDPも日本が3万9740ドルに対して中国は3735ドル。人口100人あたりの自動車の保有台数も、日本が59.1台、中国は3.8台と圧勝している。

   レアアースも「日本の近海には海底400~600mくらいのところに、レアメタルやレアアースなどの資源が多い。(中略)日本は島国であることを卑下してきましたが、島国だからこそ、海洋エネルギーの宝庫に囲まれているのです」(山田吉彦・東海大学教授)

   日本が資源輸出国になる可能性も高いとしている。

   また農業分野でも未来は明るいという。「品種改良技術に長けた日本人が本気で研究すれば、アジアのマーケットで、日本のコメはいまの自動車を抜く売上げになる」(岩永勝・作物研究所所長)

落語界の明るいニュース

   中には、日本が世界の命運を握っている技術もある。それが「炭素繊維」だそうだ。軽くて強度のあるアクリル繊維を原料とする炭素繊維のシェアの8割近くを日本が持っており、米ボーイング社が10年に市場に出した最新鋭の旅客機やスポーツカーなどのボディにも使われている。

   年間外国人観光客が約135万人訪れる秋葉原での売れ筋も、最近変化が起きている。海外仕様の炊飯器、日本の化粧品、磁気ネックレス、ピップエレキバンなどが売れているそうだ。

   批判するばかりで、評価したり励ましたりすることがないといわれてきた週刊誌だが、このようなニッポンガンバレ企画は、読者からどう評価されるのだろうか。

   他の注目記事。文春の「2010年ビジネス書『ベストセラー』をブッタ斬る」は、評論家・勢古浩爾氏が、売れているビジネス書を片っ端からこき下ろしているのが小気味いい。白鳥春彦編訳『超訳 ニーチェの言葉』を、意味不明のまま売れてしまった納豆本と同じだとし、齋藤孝『15分あれば喫茶店に入りなさい』を、いい加減な本だと斬って捨てる。

   渡邉美樹『きみはなぜ働くか。――渡邉美樹が贈る88の言葉』は、修身の教科書を読んだようで心が逆に冷え、後に何も残らない。ちなみに、彼がこれはと思う3冊をあげているが、その中の三枝匡『戦略プロフェッショナル』がよさそうだ。「実際例のプロセスと戦略理論が『論理性』と『熱き心』で結びつけられており、読み出したらとまらない」(勢古氏)。『もしドラ』の百倍有益でおもしろいと保証している。読んでみてはいかがだろう。

   蛇足だが、昨夜の「読売ホール」に立川談志師匠が出演して、約1年ぶりに落語を一席語った。出し物は「へっつい幽霊」。ビールと睡眠薬のやり過ぎで体調をこわし、のどの病気で声が出にくいため、09年12月に上野の鰻屋で語って以来、舞台に出てもジョークしかやらなかった師匠だが、このところ体調のほうは見違える程よくなってきてはいた。

   だが声のほうは相変わらずで、私たちも、一席まるごと聞くのは無理かもしれないと思っていたのだが、昨夜突然、「へっつい」を語り始め、下げまでやったのである。談志ファンならずとも、落語界にとっても久しぶりの朗報である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中