2024年 4月 25日 (木)

沖縄知事選でいよいよ解けなくなった「普天間方程式」

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   沖縄知事選で28日(2010年11月)、仲井真弘多知事が再選された。焦点の普天間基地問題で、「県外移設」強硬派の伊波洋一・前宜野湾市長とは3万8000票余の大差だったが、仲井真もまた「県外」を主張している。県民の判断はどこで分かれたのか。

   今回、民主党は候補者を立てられなかった。昨年の選挙で、民主党は普天間移転先は「少なくても県外」と訴えて沖縄県民の期待を集めた。だが 鳩山前首相は迷走のあげくこの5月に元の「辺野古移転」で米国と合意して、沖縄から完全にそっぽを向かれてしまったからだ。

   畠山智之キャスターが中継でつないで仲井真知事に勝因を聞いた。知事は「裏切りへの反発、怒りがまだ続いている。沖縄の過剰な基地負担を全国が公平に負担してほしいという気持ちだ」と語った。

   14年前に普天間返還で日米が合意して以来、3回の知事選は県内移設をめぐって「容認」「反対」で争われ、仲井真も含めていずれも「容認派」が勝っていた。しかし、今回は仲井真は「県外へ」と転じていた。支持者の強い意向に押されてのことだった。

   仲井真は言う。

「もともとどちらかと聞かれれば、答えは『県外』に決まっている。しかし、(前回は)名護市が辺野古を受け入れていたから賛成した。いま名護は市長も議会も反対だ。事実上、辺野古移転は不可能になった。いまは日本全体で考えていただきたい」

   選挙結果を受けて、仙谷官房長官は「日米合意を履行する。沖縄からも来ていただいて、誠意をもって話し合いたい」という。北澤防衛相も「知事は沖縄振興を強調していた。負担の軽減をより明らかにして、理解を得たい」と期待する。

決定打にならない「基地負担軽減」「経済振興策」

   この間の事情を、NHK政治部の山口太一記者は「政府はいま、仲井真氏なら対話ができると、内心ホッとしている」という。官房長官と知事が話し合う「政策協議会」の柱は2つ。基地負担の軽減と経済振興策だ。政府はここで、沖縄が求めている一括交付金などで事態を打開したい腹づもりだという。

   しかし、仲井真は「協議会は辺野古とリンクさせないということでスタートしている。リンクさせると話は止まってしまう」という。県民感情についても、「5月28日に沖縄の頭越しに日米合意を決めてしまった。何の説明もない」と抜きがたい不信感を持つ。

   米国のスタンスは、辺野古への移転か、さもなくば普天間の存続だ。普天間存続は辺野古移転への圧力になるが、沖縄知事選で辺野古ノーは決定的になった。どうしたらいいのか。

   山口記者は「鳩山首相が期待を作ったのだから、まずは沖縄に謝罪をしないといけない」と結んだが、そんなことですむ段階ではあるまい。本来、政府が真っ先にやるべきは、全国に代替受け入れを呼びかけることだった。政権交代はその好機だったが、これを逃して沖縄を追い込んでしまったいまとなっては、もう一度原点まで戻るしかないかもしれない。

   折から、尖閣諸島の体当たり事件、北朝鮮の砲撃など、地域の安全保障に関わる出来事が続く。仲井真知事は基地の存在を日本全国が論議すべき好機ととらえているようだ。本筋はまさにそこにある。

ヤンヤン

クローズアップ現代(2010年11月29日放送「『普天間』はどこへ~沖縄の選択~」
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