2024年 4月 23日 (火)

堺雅人に寄りかかった退屈な家計仕分けホームドラマ

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<武士の家計簿>江戸時代末期、下級武士の猪山直之(堺雅人)は御算用者として城勤めをしていた。財政の不正を暴き、それをきっかけに出世する直之であったが、当時の武家社会は出世に比例して家計の出費がかさむ仕組みとなっており、気が付けば猪山家の台所は火の車になっていた。

   直之は武士らしからぬ節約生活を妻のお駒(仲間由紀恵)はじめ猪山家みんなで断行することにして、家計簿を付け始めた。実在した武士の家計簿を調査した学術書を基に、森田芳光監督が日本の変革直前の武家社会の模様を描く。

高楊枝なんて言ってられない武士の没落

(C)2010「武士の家計簿」製作委員会
(C)2010「武士の家計簿」製作委員会

   御算用者とは今でいう会計処理の専門家で、直之はかさんだ借金を返済するため、家にある不要な物を次から次に売っていく。祖母や祖父が泣きついても歯牙にもかけないが、このあたりはいま話題の「事業仕分け」を連想させる。

   武士は支配階級であったことから、「食わねど高楊枝」などと見栄を張ることが求められたが、「武士として大事なのは見てくれではなく心だ」と言わんばかりの直之。そんな刀よりそろばんで身を立てていく武家社会というのが、この作品のユニークな部分だろう。

   森田監督はユーモアを交え、淡々としたホームドラマテイストに仕立て上げている。それだけにドラマとしての驚きはなく、見せ場も少ない。場面展開も単調で、城や家を何度も同じアングルで撮るのは、時間の流れを分かりやすくする狙いでもあるのだろうが退屈だ。

   同じ音楽をあらゆるシーンに使い回すのも面白みに欠ける。これらの要素は良くも悪くも「安定」に繋がるのだが、そもそも監督・森田芳光、主演・堺雅人ならば観る前から観客はある程度の安定感は予想できる。その安定を覆す部分がなく、堺雅人の演技や存在感に頼ってしまっているのも面白みに欠ける。

   「節約」というキーワードから当時の武家社会の様子を垣間見るという題材は、かなりおもしろい所を突いているだけに、消化不良感も大きい。仲間由紀恵の着物姿は美しい。

                      

川端龍介

おススメ度 ☆☆

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