保護児童の2割、帰宅後に「再虐待」―法律も行政も追いつけぬ実情

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   「児童虐待防止法」が施行されて今年(2010年)で10年。行政はそれまでに比べて虐待されている子供を保護しやすくなったが、保護された子供たちの9割がもう危険性はないと判断されて家庭に戻されている。ところが、家庭に帰された子供たちの約2割が再虐待を受けている実態を「クローズアップ現代」が明らかにした。

連絡取れなくなる親

   番組は全国205か所の児童相談所を対象にアンケート調査。その結果、年間で8000人以上の子供たちが再虐待を受けていることがわかった。虐待を繰り返す原因には、「子供に愛情が感じられない」「鬱病でそのはけ口を求めて」「離婚や出産による家庭環境の変化」などが多いという。再虐待していた40代の母親はインタビューにこう答えた。

「子供に別れた夫の面影が感じられた。夫からは暴行を受けていたので、また虐めてしまった」

   ある児童相談所の担当者は、「父親と母親の関係がなかなか把握できない。連絡の取れない親もいて、自分たちだけでは再虐待防止には限界がある」と話す。

   西澤哲・山梨県立大学教授よれば、虐待は意図的に行われるものではなく、そのときの感情から起きるという。

   保護した担当者と親とのしこりもあるようだ。親から見れば、子供を取り上げられた、連れ去られたと感じ、その憎しみは担当者に向く。その結果、担当者と親とのコミュニケーションが希薄になる。これををどう深めていくか、再虐待防止には重要な課題だ。

欧米では養子縁組で新たな親探し

   神奈川中央児童相談所の専門チームは担当者と親との間を第三者的な立場から仲立ちしているが、とにかく人員不足だ。現在、日本の児童相談所の担当者が受け持つ相談件数は、欧米と比較すると20倍近いといわれている。次から次へと新たな案件が持ち込まれ、家庭に戻した子供のその後をフォローすることも難しい。欧米ではもはやこの親の元に置いておくのは危険だと判断したら、養子縁組など新たな親探しをするという。しかし、日本では子供は実の親の元で育てるのが一番という考え方が根強い。

   「児童虐待防止法」が追いつけない実態。行政の出番だ。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2010年12月9日放送「『再虐待』子どもたちを守れるか」
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