香川照之の子規「新たな始まりの死」王道いくドラマ

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「坂の上の雲 第2部 第7回―子規、逝く」(NHK)2010年12月12日19時半~

   昨年に引き続き相変わらず大変面白い。後半腰砕けに終わった「龍馬伝」などより、はるかにドラマの王道を行っている。国家が青年時代であった明治が面白いのも確かにあるが、下手をすると軍国主義礼賛になる難しい背景の中でも、生き生きした青春群像の躍動感あふれる日常を描くことによって、その時代の日本人の立ち上がろうとするエネルギーが画面から迸るような楽しさを感じる。
   7回は難病で若くして死んでゆく正岡子規(香川照之)を中心にしているのだが、これが決して暗いマイナスイメージではないのだ。何故なら、交通不便な明治時代にも拘らず、遠い遠い松山から出てきて根岸に住み、後世に確たる文学の革新派の名を遺した子規の思想と業績が、弟子たちに受け継がれたであろうことを予感させるし、妹の律(菅野美穂、好演)も兄の死後、己の学問し直しという、明治女としては意欲的な生き方を選択したことが現代人の我々から見ても共感を呼ぶからである。後に共立女子職業学校教員となる。
   出張していた秋山真之(本木雅弘)が電車の中で、向かいに座り大声で有名人の記事(子規の訃報)を読む人から、大親友の死を知る場面が時代をよく映している。凛々しい海軍士官姿の本木雅弘が「のぼさん」と呼んだ子規と、見舞いのシーンでは抱き合い、ひょっとして同性愛に近いものがあったのかとまで思わせる。これは思い過ごしだろうが、濃密な友情が存在した証しとして感慨深い。

(黄蘭)

採点:2.5
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