2018年 7月 23日 (月)

原作・森村誠一のたしかさ「勧善懲悪でない人間心理のあや」

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「終着駅の牛尾刑事VS事件記者冴子(10)」(テレビ朝日)2010年12月18日21時~

   原作が森村誠一だけに、2時間半を退屈はさせなかった。年末のスペシャルバージョンなので、牛尾刑事(片岡鶴太郎)、緒方浩平(船越英一郎)、那須警部(辰巳琢郎)などとスターの大盤振る舞いだ。女性記者・冴子はいつものシリーズ通り水野真紀である。テレ朝のドル箱枠らしく見かけは次第にゴージャスになっている。
   生真面目な商社マンが自殺した翌年、今度はその未亡人が殺されて事件の幕が開く。このドラマのミソは、背任横領を許せなかった商社マンの抗議の自殺から、巨悪告発の社会派ミステリーになるのかと思ったら、どっこいそうではなかった点である。
   横領社長の妻(原沙知絵)と未亡人と彼女たちが行きつけの美容院のカリスマ美容師が、ずっと前に起きたひき逃げ事件の犯罪を共有していて、その秘密から派生した恨みによる連続殺人事件であったことがわかる。作家の原作ものは事件のための事件ではなく、きちんと人間心理のあやが描き込まれているので納得できる。
   泥棒にも1分の理ではないが、かつて自分を孕ませて捨てた男を交通事故で殺した女の、死んだ赤子に寄せる悲しみがベースになっていて、単純な勧善懲悪ではない。片岡鶴太郎が主演する作品は、彼が無口な刑事という設定になっているので、物静かに淡々と進み、寒いギャグを噛まさないところも助かる。VS相手の冴子の水野真紀はもう結構な歳なのだからキャピキャピはやめた方がいいと思う。

(黄蘭)

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