要潤が時空を越えて現場レポート―江戸時代「お氷様献上」に密着

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   <タイムスクープハンター(NHK12月23日午後10時55分~)>取材記者がタイムスリップして、その時代の出来事や人々の暮らし、仕事をドラマ仕立てで紹介するもので、去年から春に10回前後放送されていて、年末にスペシャル版もある。

   初めて見たのは偶然だった。家に帰って何げなくテレビをつけたら、緑色っぽい赤外線カメラの映像が映った。何か実況中継をしているようだ。カメラを持って山道でも歩いているのか、画面が揺れて見づらい。

   目をこらしていると、なんと鎧(よろい)を着た人の後ろ姿。「なんだなんだ、これは!」と思っているうちに、どうもドキュメンタリー仕立ての歴史再現ドラマらしいことがわかった。後から「医僧」を扱った「戦国救急救命士」だと知った。

   これまで何回か見たが、30分と短いながら、どの回もとても面白い。特に印象に残っているのは、再放送で見た「お氷様はかくして運ばれた」である。夏、加賀藩から将軍家に献上する氷を溶けないうちに運ぶ飛脚の活躍を描いたもので、次々にふりかかる難題をどう乗り越えるか、手に汗握った。

   最後に、江戸の町が見える所までたどり着き、ホッとした時に、なぜか氷箱のふたを開け、わざわざ泥で汚したのには驚いた。きれいな氷を献上するとそれが当たり前だと思われて、何かあって汚れた時に責められるので、汚れているのが普通だと思わせておくためだという。「うーん、そういうものか」と、支配される側の知恵に感心すると同時に、複雑な気持ちになった。現代でも保身第一の役人がやりそうなことではないか。ルーツはこういうところにあったのかという気がしたからだ。

年末スペシャル「滅亡パニック!彗星大接近」

   年末のスペシャル版「滅亡パニック!彗星(すいせい)大接近」の放送(2010年12月28日午後10時~)に合わせて再放送された「駕籠(かご)かき突破口!」を見た。時は1707年、信濃国。村の若者2人が貧困から抜け出そうと、手作りの駕籠で駕籠かき稼業を始める。なかなか客がつかないところへ20里も乗るという客が現れ大喜び。20里といえば80キロ、現在のタクシーだって相当な距離。ドラマによれば、駕籠の平均スピードは1日50キロだったという。資料や考証は確かだから、事実、こういうこともあったのだろう。

   商家の女将という触れ込みの客は実は逃亡した遊女、というわけで、遊女の実態の一端も織り込みながら、「お客様第一」で突っ走る正直駕籠屋の成功を描く。女を乗せた駕籠を担いだまま追っ手を振り切るというのは、ちょっと無理がある気もするけど…。

   通常の歴史ドラマと違う圧倒的なリアリティがあるのは、時空を越えるジャーナリスト・沢嶋雄一(要潤)が狂言回しになっているからばかりではない。時代劇はどうしても歌舞伎の伝統がしみついているから、実際より扮装はきれいに、セリフ回しは堅苦しくなってしまうが、このドラマはそれらからまったく自由なのだ。

   出演者は、要潤以外に有名タレントはいない。役者自身に貼り付いているイメージがないから、初めからその時代に生きている人みたいに見える。髪型は地毛を生かして作り、月代(さかやき)部分は実際に剃っているらしい。駕籠の女も地毛だけで結っていて、初期浮世絵の遊女の姿そのままを体現している。言葉も現代の若者がしゃべっていても不思議はないくらい自然だ。28日の「滅亡パニック!彗星大接近」は、「駕籠(かご)かき突破口!」のときに落としたカメラの回収を軸に話が進む

カモノ・ハシ

文   カモノ・ハシ
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