和田勉「ガハハ」で隠した繊細な目「朝ご飯までファミレスだよ…」

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「追悼 和田勉」(各局ニュースほか)2011年1月19日

   ひんぴんとテレビ界の巨人が彼岸へ旅立つ。各局ニュースや情報番組では、和田勉のことを「ガハハハ」と豪快に笑う陽気な人だったと判で押したように伝えている。まことに一面的な紹介である。
   筆者は何度も彼と共にテレビ番組の審査をした。昼食時、主催者側が豪華な懐石弁当を用意してくれるのであるが、筆者にはナントカ亭のものであろうが、冷めた弁当は美味しく感じられなかった。ボソボソと食べていると、ある日、後ろから大きな勉ちゃんの声がした。「こういうの、美味しいねえ」。振り返るとニコニコしながら彼は言った。「僕ねえ、朝ご飯までファミレスで食べてるんだよ」。
   筆者は答えようがなくて絶句した。夫人がアカデミー賞受賞の有名衣装デザイナーというのも大変だなと思った。外国を飛び回り、多分家庭のことまで手が回らないのだろう。かといって、昭和ひと桁の男には家事は出来ない。だから、朝からファミレスになるのだ。
   食について彼は格別の関心があったようだ。ある週刊誌に掲載されている著名人の食生活の記事を読んで、「家族で休日に旅行か」と羨ましそうに呟いたときの目を筆者は忘れられない。見かけの豪放磊落さとは裏腹の繊細な人だった。繊細な感性を持っていなければあんなドラマ演出は出来なかった。「ザ・商社」が1番好きである。
   彼が老人福祉施設で亡くなったのを聞き、人生の無常を思った。本人には何の苦痛もなかったのかもしれないが、侘しい。合掌。

(黄蘭)

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