日本の「異能」が世界を変える―「Google」の3年前に検索エンジン開発

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   「頭の中をのぞき見る最終兵器、リーサルウエポン」「人でも建物でもすべてがスケスケになる」「機械と対話ができる」――突拍子もない「異能」と呼ばれる人たちの発想だ。

   昨年12月、京都で開かれた「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット」。年2回のビジネスコンテストで、アイデアを大企業や投資家が審査する。可能性があれば投資の対象にもなる。キャッチフレーズは「日本から世界を変える」だ。今回は14組が「異能」を競った。

言葉分類で株価予想

   内山幸樹さん(39)が出したのが「リーサルウエポン」だった。ネットには50億以上の書き込みがある。これをすくいあげ、言葉を分類して、株価の動向と結びつけた。株価の将来予測をしようというのだ。

   15年前の東大大学院生の時、仲間と日本初の検索エンジンを開発して天才プログラマーと呼ばれたが、3年後、同世代が作ったGoogleが現れて世界を席巻した。「負けた。日本ではビジネスが立ち上がらず、投資もなかった」という。

   そのくやしさから起業し、大手の下請けをしながら食いつなぎながら作り上げたのが株価予測システムだった。しかし、アメリカのチームが似たようなシステムで高い的中率を出した。正直焦りがある。プレゼンでは「世界より2年は先をいっている」と力説した。

   内山さんはあらゆるものを数式化して考える。アイデアをボードに書いても数字や記号の羅列ばかり。普通の人にはチンプンカンプンだ。 意味を聞いても、「説明は好きじゃない」。型にはまらず、まさに「異能」だ。

   内山さんの対抗馬と目されたのが、大学院生の2人組、石橋秀一さん(31)と宮内隆行さん(30)が作った節電ソケット。消費電力の測定装置と無線機能をもち、ケータイなどで電源のオン、オフを管理できる。 「ゲーム感覚で節電ができる」という。

   高校のクラスメートでともに内向的。会社勤めになじめず、大学に席を置きながら築50年の木造アパートに住む。家賃3万円の生活から節電のアイデアが生まれた。2人に共通するのは「ものを作るのが好き」。

   5年前、公園で遊ぶ子どもたちのために作ったオモチャが転機となって、3か月前に「もの作りで人々を笑顔にする会社」を立ち上げた。2人を支えるベンチャー投資家がいる。そこからもアイデアが出る。「企業家のときわ荘」なんて書いてある。

追いつけぬ「育てる土壌」

   コンテストの結果は、内山さんが1位。アイデアと技術力が高く評価され、過去最高の満点だった。すでに香港に新会社設立の動きになった。一方の大学院生2人は「実現には課題が多い」との判定。しかし、米のニュースサイトで伝えられ、南米やヨーロッパから問い合わせが来ているという。

   シリコンバレーでベンチャー経営の渡辺誠一郎さんは「面白い。コンテスト自体が面白い」という。「捨てる神あれば拾う神ありだ。日本の若者のポテンシャル、発想力は高い。ただ、それを育てる土台に差がある」

   「異能」と呼ばれる人たちの才能がいま世界を動かしている。Apple、Googleしかり、facebookしかり。

   渡辺さんは「突拍子もない発想を育てる人が見つかるかどうか。いえるのは、大企業に入るのも、自分でやるのもいまやリスクは同じ。大樹よりスピード」という。

   番組はこれら「異能」がいまの日本の「閉塞」を打破する力になるか、と問うていた。カギは「異能」じゃあるまい。それを認める目だ。流れをつくる官僚や大企業にこそ「異能」「柔らか頭」が必要だろう。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代(2011年1月24日放送「飛び出せ、『異能』!~日本の閉塞感を打ち破れ~」)
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