フラれた腹いせで作った「フェイスブック」―描き出される創業者の異様さ

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<ソーシャル・ネットワーク>SNS(ソーシャル・ネット・サービス)とはインターネット上で人と人とのコミュニケーションを促進する目的で作られたサービスだが、日本国内では「mixi(ミクシィ)」が最大会員数を持つ。世界最大のユーザーを持つのは「facebook(フェイスブック)」という本名登録形式のSNSで、その数は5億人を超えている。

   「フェイスブック」の創設者であるマーク・ザッカーバーグがSNSの創設にいたるまでの半生を、実話を基に鬼才デビッド・フィンチャーが映画化した。

女子大生の写真並べてランク付け

   2003年、ハーバード大学に通うマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は彼女にフラれ、自身のブログに彼女の悪口を書いていたが、次第にエスカレート。高校生の時から腕利きのハッカーだったこともあり、大学の名簿をいとも簡単にハッキングして、「フェイスマッシュ」という女学生の写真を並べてランク付けをするサイトを作ってしまう。彼女にフラれた腹いせが「フェイスブック」の原点というのだから驚く。

   マークはしょせんオタク青年で、頭は良いが人との付き合いが苦手。自分は神だと言わんばかりに理論と知識をかざし、異様なまでの早口で相手をねじ伏せて、話すいとまを与えない。当然、周りの人たちは彼を避け始めるが、それでも誰かと繋がっていたい欲求はある。

   この映画を見ている人は、そんなネット世界からそのまま飛び出してきたようなマークの姿に、ネット社会といわれる現代の人間関係の危うさを感じるだろう。人間関係を恐れ接点を閉ざしてしまうと、人はバーチャルの世界に没頭していくということなのか。

   この映画は「フェイスブック」の創設ストーリーというよりも、マークという人物の内面を重点的に描いている。SNS創設のドキュメント要素を期待する観客には物足りないかもしれないが、この映画は「大学生がアイデアひとつで巨万の富を築いたサクセスストーリー」というよりも、マーク・ザッカーバーグという人物を通して、デビッド・フィンチャー監督のネット社会に対する解釈を映像化したものなのだろう。成熟しているとは言い難い人間の「人間と繋がりたいという内面」が巨大なネットワ-クを生んでいく過程は、「靄がかかっているような不安」を感じさせずにはいられない。

川端龍介

おススメ度☆☆☆☆

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