2024年 4月 26日 (金)

「国際離婚」子ども連れ帰る日本人妻―欧米で犯罪扱い

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   日本人と外国人の国際結婚で破局を迎えたカップルが、相手の同意なしに子供を連れて帰国するケースが急増しているという。とくに、日本人の妻が子連れで帰国することが多く、国際問題化している。「クローズアップ現代」がその実態と課題を取り上げた。

「国際結婚の破局」2・5倍に急増

   日本人が外国人と国際結婚して破局を迎えるいわゆる「国際離婚」の件数は1992年は7700件だったが、09年には1万9400件と2.5倍に増えている。

   破局を迎えて起きるのは誰が子供を引き取り育てるか。日本人同士の場合は8割が母親が引き取り育てているが、欧米では事情が異なるようだ。

   取材を担当したNHK生活情報部の伊達裕子記者は、「欧米では離婚した後も両親で子育てにかかわるのが一般的で、子供にとってそれが良いことという考えがあります。これが、無断で子供を引き離すのは違法という考えに繋がっているわけです」という。

   そうした考えを背景に、子供の連れ去り防止のため1980年にハーグ条約が締結され、欧米や南米など84か国と地域が加盟している。加盟国は申し立てに基づいて、司法の場で双方の主張を聞き決着を目指すが、原則は申立人の求めに応じて、子供が暮らしていた元の国に速やかに戻す。

   では、その実態はどうなのか。番組では2つのケースを紹介した。まず、外国人と結婚して破局した日本人の母親が、子供を連れて日本に帰国したケース。外国で結婚したこの日本人女性は、出産した子供が1歳になる前に夫が家を出てしまい離婚。女性は現地で働きながら子育てをしていた。

   ところが、元夫から子供の面会をめぐって10件以上の訴訟を起こされ、弁護士費用は1000万円を超えることに。追い詰められた女性は子供を連れて日本に帰国したが、元いた国から誘拐の疑いで逮捕状が出されている。

   もう一つはその逆で、外国人の元夫が「買い物に行く」と言って4歳の子供を連れまま突然、帰国した。元夫からは電話で「もう戻らない」と連絡があっただけ。元妻は子供に会えずにいる。

ハーグ条約加盟迫るフランス・アメリカ

   外国で訴訟を起こされ途方に暮れる元日本人妻の苦衷は十分理解できるが、外国ではそうした心情はあまり斟酌されないようだ。

   先週、フランスの議会・上院はフランス人男性と結婚した日本人女性が、離婚する際に無断で子供を連れて帰国する事件が相次いでいるとして、日本政府にハーグ条約への加盟を求める決議を採択した。米国からも条約加盟を求める圧力がかかっている。新聞報道によると、キャンベル米国務次官補は2日(2011年2月)の記者会見で、日米間の国際結婚で日本人の親が子供を連れ去る事件が多発し、「非常に懸念すべき事態になっている。米議会も懸念している」と述べ、ハーグ条約への加盟を求めた。

   このように、国際間の政治問題にまでエスカレートしてきたことを外務省は憂慮しているが、先に挙げたケースを見ても分かるように、簡単にハーグ条約加盟とはいかない。

   キャスターの国谷裕子が「母親が日本で育てたいということがそれほど違法性があることなのか。欧米と感覚が違っているこの温度差はどこから来るんでしょう」と問いかけ、伊達が次のように答えた。

「それは子育てについて、欧米人と日本人の考え方の違いだと思います。国際離婚は難しいとあらためて実感しました。ただ、取材した日本人の中に、離婚に直面するまでハーグ条約すら知らなかった人が多くいました。
国際結婚して外国で子育てするのであれば、その国の家族に対する考え方、法律、ルールを十分知ったうえで決断することが必要じゃないでしょうか。結婚する時には、そこまでなかなか考えられないのかもしれませんが…」

   言葉を覚え、その国で働き、生活の基盤ができたうえでの国際結婚ならともかく、安易な国際結婚はたちまち破綻し、子供が両親の思惑に翻弄されることになる。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2011年2月2日放送「急増する国際結婚トラブル」)

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