休日の朝 小粒ながら爽やかに吹き抜けた難病ドラマ

印刷

「風をあつめて」(NHK)2011年2月11日8時20分~

   筆者は本来、難病もののドラマにはカラい。何故なら、普通の人の中にある普遍的なものにこそドラマの素材を見つけるべきだと思っていて、難病ものや死を扱うドラマは、最初から人心に訴える悲劇に寄りかかっている安易さが気に入らないからである。けれども作り手の姿勢によっては、減点の対象に目をつぶる場合もある。
   休日の朝という、馴染みのない時間帯に放送された当作品を視聴したのは、制作者が、かの「ゲゲゲ」の谷口卓敬だったからである。1時間という小粒ながら、難病ものにしては爽やかな読後感(?)が味わえる作品だ。障害福祉賞受賞エッセイのドラマ化である。
   真面目で優しい市井の夫婦、浦上誠(安田顕)と攝(中越典子)に生まれた待望の杏子は筋ジストロフィーを発病し、健常者を望んで産んだ第2子までが同病という過酷な物語である。最初に原作者が言ったのは、「子供はやがて親から離れるが、わが子とはずっと一緒にいられる」であった。この達観の背後にどれだけの格闘があったか。親はたとえ、ただの風邪ひきでも、「何故うちの子だけが病気なのか」と悩むものだ。彼らの苦悩はいかばかりだったろうか。
   同情されるのを拒み、普通の親子として生きようとする誠夫妻の努力の陰に、理解して見守る同僚がいる。ふっと長女に手を掛けそうになる夫を思い留まらせたのは当の娘である。濃密な思い出を残して逝った子が不憫だったとは全く思えない存在感があった。

(黄蘭)

採点:1
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter

このエントリーはコメント・口コミ受付を終了しました。

注目情報PR
追悼
シニアの健康ライフ
Slownetからのおすすめ記事(提携)

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中