2018年 7月 19日 (木)

新燃岳さえおぼつかない―火山国・日本のお寒い観測態勢

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   噴火活動が続いている霧島連峰の新燃岳、このところの降雨で土石流の危険性が高まっており、麓の宮崎県都城市は先日、初めて土石流警戒の避難勧告を出した(2011年2月17日解除)。「クローズアップ現代」は新燃岳などの火山観測態勢に焦点を当てたが、浮き彫りになったのは火山国・日本のお寒い現状だった。

大きくズレてたハザードマップ

   山肌に火山灰が降り積もると、雨水が地中に吸収されにくくなり土石流や泥流の危険性が高まる。都城市は国や県に基準がないため、独自に避難勧告の基準を作り発令した。また、市は300年前の「享保の噴火」の被災状況をもとに土石流の危険があるハザードマップを作成したが、1cm以上の火山灰が積もっている地域は、想定していたところよりずれて市の北側、新燃岳の南東部だった。新燃岳は日本で現在24時間体制の観測が行われている46の火山の一つだが、それでも体制が不十分だったということなのだろう。

   全国から研究者が新燃岳に集まり本格的な調査が始まったが、そこで分かったことは、3年前の小規模噴火とは異なり、今回は水蒸気爆発ではなくマグマ噴火であること。享保の噴火と酷似していた。

   マグマ噴火は熱量が水蒸気爆発とはケタ違いに大きく、爆発規模も大きくなりやすい。享保の噴火ではまず水蒸気爆発があり、その8か月後に大規模なマグマ噴火が起こって1年半も続いた。

各省庁がバラバラ活動

   では、新燃岳の噴火活動はどうなるのか。専門家はカギは地下の「マグマだまり」だという。マグマ学の専門家で火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長が次のように解説した。

「新燃岳の北西数キロ、深さ9キロと思われるあたりに、まだマグマがたまっています。また、以前からたまっていたマグマのかなりの部分が新燃岳へ移動し、軽石や火山灰を吹き上げているわけですが、それがいまも火口付近に溶岩のたまりとして存在しています。表面は冷えた岩に見えますが、内側はまだ溶けたマグマが存在し、その部分からガスが出てきて圧力がたまると、上の溶岩を吹き飛ばし爆発を起こす。それがいま起こっていることです。
さらに深いところのマグマの移動も続いており、この状況はしばらく続くでしょう」

   日本には世界の火山の7%に当たる108山があり、この20年間だけでも19山が噴火している。しかし、このうち24時間観測が行われているのは約半分だ。それも予算不足で機器の老朽化が進み、研究者も減少しつつあるという。

   藤井会長は火山国・日本のお寒い現状を次のような指摘した。

「複数の省庁にまたがる研究機関がそれぞれ火山の調査研究をしており、気象庁が監視に当たる役をやっています。世界のどの国も、一元化された機関が監視と調査研究を行っていて、そうしないと効率的な監視や調査研究ができない。
日本も早く一元化すべきで、とくに大学が法人化して以降は人材が乏しくなり、観測所が無人になっているところが増えています」

   こういうところにメスを入れるのが本来の事業仕分けの役割だったはずだ。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2011年2月16日放送「新燃岳噴火 どうなる『火山列島』」)
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