妻刺殺…傍聴席で痛感した「被害者・遺族無視」老弁護士の司法改革

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   家族がある日突然、犯罪に巻き込まれたら…。「クローズアップ現代」は残された遺族への司法制度改革に取り組み続けている老弁護士の姿を追った。

   先月(2011年1月)、「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の設立以来、11年間代表を務めてきた元日弁連副会長の岡村勲弁護士が退任した。遡ること14年、当時、証券会社の代理人を務めていた岡本の自宅を株取引で失敗した男が訪れ、応対に出た妻が刺殺される事件が起きた。それまで40年近く刑事裁判を手掛けてきた岡本は、遺族として傍聴席から裁判を見ていて、被害者や遺族の意志が無視されていると痛感する。

「明日の犯罪被害者のために司法を変えなければならない」

   キャスターの国谷裕子は「それまでの刑事裁判では、裁判の日程がいつになったのかも知らされることもなく、証言や証拠書類も遺族に開示されることもありませんでした。遺族は裁判の蚊帳の外に置かれている状態でした」と伝えた。

   岡村は手始めに犯罪被害者の権利について新聞に投稿。それを読んだ4家族が岡村に連絡し、そこから「全国犯罪被害者の会」が結成されることになった。岡村らの訴えに、法制審議会などの司法界は難色を示したが、徐々に司法関係者の意識を変え、被害者やその家族が裁判で被告に直接質問できる制度の実現までにこぎつけた。

   元検事総長の但木敬一も「たしかに、以前の裁判のあり方は被害者家族を置き去りにしていた部分があった」と語っている。

   犯罪学に詳しい常磐大学理事長の諸澤英道はこう話す。

「岡村さんは欧米より20年遅れているといわれた日本の司法を変貌させた。そして、それまでの何もなければ殺されるはずがないなどという、被害者や残された家族への世間の偏見をも変えさせました」

欧米より20年遅れ

   しかし、まだ被害者や家族への経済的補償や精神的被害の回復問題など、残された課題も多い。諸澤は「現在の制度では、犯罪被害にあった人が仕事ができなくなっても、一時金しか支給されない。被害者やその家族の生活を国としてどう支えていくのか。これがこれからの課題です」と語る。

   もうひとつの壁は、自分や家族が犯罪に巻き込まれることはないと漠然と思っている多くの人の無関心だろう。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2011年2月25日放送「遺族の声が司法を変えた~犯罪被害者・岡村勲さんの闘い」)

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