防災先進国NZの落とし穴「未知の活断層と液状化」

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   大地震発生から28日(2011年2月)で7日目になるニュージーランド・クライストチャーチの現状報告だ。日本と同様、地震が多く、防災対策では先進国であったのになぜ大きな被害を出したのかという疑問にも迫った。

余震でいまだ崩壊の危険

   これまでに確認された死者は148人だが、不明者も含めた総数は200人になるという。日本人もまだ28人の安否が不明のままだ。その現場、語学学校のあったCTVビルのがれきは地表近くまで取り除かれたが、なお安否につながる手がかりはない。

   日本から駆けつけた肉親も、なお倒壊の危険があるとの理由で現場への立ち入りも認められず、消防当局から映像で説明を受けたものの、その惨状に声もなかった。

「心労が蓄積して、精神的なケアも必要になっている」(NHKシドニー支局・向井麻里記者)

   日本の国際緊急援助隊60人は24時間態勢で救出にあたっているが、現地指揮で乗り込んだ徳永久志・外務省政務官も、「家族を何とか現場に」との要望を繰り返すのが精一杯。身元確認の資料の提供で家族との橋渡しなどに追われている。

   不明者の年齢は19歳から62歳。英語を習得して国際的な活動を目指そうという人が多かった。とりわけ看護師は英語を習得すれば日本での資格が生きる制度があるため、かなりのベテランもいた。

   そうした1人、大坪紀子さん(41)はアフリカ、中国でのボランティア活動を経て31歳で看護師になり、カンボジアなどでの実績を積んでいたが、さらに途上国で子どもを救いたいと語学研修を選んだ。直前に父親に届いたメールには、「まだ英語がちんぷんかんぷん」とあったそうだ。

   19歳の村上恵美さん(富山)は中学時代から英語に熱心だった。外国人と直接会話をして通じたと喜びを記した文章があった。

「うまくなればもっと楽しくなる」

   ニュージーランドは念願の地。学校に通い始めて2日目だった。

見逃した大地震のサイン

   多くの夢を打ち砕いた地震について、地元の学者も「こんなことは予測できなかった」と言うが、ニュージーランドは2つのプレートがぶつかる場所にあり、もともと地震が多い。これまでに全国で150もの活断層がわかっていたが、昨年9月にやはりクライストチャーチ近くで起こったM7の地震を起こした活断層は、それまで未知のものだった。

   今回の地震はその延長上で起こった。なお続く余震をトレースすると、双方向に伸びていて、その東方の先にクライストチャーチがある。被害は古いビルに集中しており、当時の設計はビルの柱は重量を支えるだけで、横揺れには無力だったのだという。

   地盤の悪さもこれに拍車をかけた。現地に入った東京電機大の安田進教授が、震源近くの地表に液状化で吹き出した砂を測ったところ、厚さ50~55センチもあった。固まっているように見えるその砂を踏むと、ウソのように水がしみ出してくる。

「液状化です。これが揺れを増幅した」

   スタジオで小長井一男・東大生産技研教授は、「昨年の地震がサインだった。いつ、どこで、どの程度という予測は不可能だが、不適格なビルの使用制限とか、生存空間の確保とかはできた。ただ、時間がなかったかも」という。

   地震国日本にとって人ごとではない。 たとえば土砂の堆積である関東平野の下だって、どんな活断層があるかはわかっていない。小長井教授は「地震が発したサインを専門家が翻訳して行政に伝える必要がある」という。最後はやっぱり人のワザになる。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代(2011年2月28日放送「最新情報 ニュージーランド7日目」)2
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