吉岡秀隆「ワンランク上の繊細演技」土スペの大シッペ返し

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「遺恨あり 明治十三年 最後の仇討」(テレビ朝日)2011年2月26日21時~

   おりしも2.26事件のあった2月26日に放送するとは、テレ朝もやるわい。吉村昭原作の公式に記録のある日本で最後の仇討の物語である。緑多い映像が美しく、全編に、抑制された武家社会の名残の品があって素晴らしかった。山岡鉄舟に扮した北大路欣也が佳演。
   小藩の秋月藩で慶応4年に開国派の執政・臼井亘理夫妻が過激な攘夷派に惨殺される。11歳だった息子の六郎(藤原竜也)は両親の惨死体姿を目に焼き付け、復讐の為だけに生きてゆく。侍女のなか(松下奈緒)らの情報で六郎は本懐を遂げるのだが、維新後、仇討は非合法となり、皮肉にも判事となっていた仇の一瀬直久(小沢征悦)の部下の判事、中江正嗣(吉岡秀隆)に裁かれることになる。
   中江は「法治国家、日本での仇討は認めない」主義で、六郎の周囲の人間の働きかけにも、新聞の「武士の鑑」と六郎を称賛する声にも耳を傾けないのだが、武士の誇りを斟酌して死罪は免じる。
   剣のために山岡鉄舟の道場に住み込み、ひたすら修業する六郎の真意を察した師の鉄舟が、容赦なく六郎を竹刀で打ち教える殺陣のシーンが凄い。いわゆる娯楽時代劇のチャンバラとは似て非なる迫力である。筆者はかつて、鉄舟の谷中の全生庵へ見学に行ったことがある。書家でもあった彼の見事な掛軸が一杯かかっていた。
   語りも担当する吉岡秀隆の、ワンランク上の繊細な演技が作品に深みを与えていて、土ワイと蔑称される枠の大シッペ返しだった。

(黄蘭)

採点:1.5
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