2024年 4月 19日 (金)

監督イーストウッド期待はずれ…「死後世界と来世」見せ場なく2時間

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(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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ヒアアフター>大津波に巻き込まれて臨死体験をしたパリのジャーナリスト、マリー(セシル・ドュ・フランス)。双子の兄を事故で亡くしたロンドンの少年、マーカス(ジョージ・マクラレン)。霊能力を持ちながら苦難の人生を強いられたサンフランシスコの青年、ジョージ(マット・デイモン)。異なる場所にいた3人の主人公たちが「死後の世界」や「来世」の意味を問うヒューマンドラマ。監督はクリント・イーストウッド。製作総指揮にスティーブン・スピルバーグ。主演は「インビクタス」のマット・デイモン。

哀れに見えないマット・デイモン

   クリント・イーストウッド監督作品ということで、少々期待をしすぎてしまったのか。迫力満点の冒頭の津波のシーンからこの先どうやって話が盛り上がるのか胸が高鳴ったが、その後の2時間にこれといった見せ場はなく、単調なまま話は進んでいった。

   テーマ自体は非常に面白いのは間違いない。それでも、3人の主人公がそれぞれに苦悩する姿を見ても、胸を打つような感動にはならないのだ。死者と会話のできるジョージは才能を呪いだと言い、そのせいで人と深く関われない自分を悔やんでいる。拒んではいても、その能力で時に人に深く感謝されている。哀れな人生を歩んでいるようには見えない。イタリア料理の教室に通っているので、どんなつらい時でも食事は家で作って食べる姿もなんだか微笑ましい。

   臨死体験から「死後の世界」が見えるようになったジャーナリストのマリーは、自分の体験に「来世」の可能性を見つけ本を執筆する。その間に自分が広告塔を勤めるテレビ番組を失い、こちらも運命に苦悩するが、ここでも特別な感情がわくことはない。彼女の人物像が、1度死にかけた人間にしてはあまりに強すぎるからだ。

ひねりない脚本に退屈

   唯一共感できたのは双子の兄を亡くしたマーカス。愛する兄ともう1度会うために、必死に霊能力者を探し回る姿は実に健気である。薬物依存症の母親がいるが、兄弟2人は母親をとても愛していて、「どんな母親でも一緒に暮らしたい」と願うマーカスに涙が溢れる。

   物語は終盤にかけてバラバラだった3人が出会うことになる。そこで何を知ることになるのか。身近な人の死を最近経験した人は深く物語に入り込めるかもしれないが、全体を通して言えば、イーストウッド特有の映画の魅力はあるものの、脚本にもう少々ひねりが欲しいところであった。

PEKO

おススメ度 ☆☆

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