岡本太郎の限界…前衛芸術家になりきれなかったお育ちのよさ

印刷

「TAROの塔 第1回 第2回」(NHK)2011年3月5日21時15分~

   メキシコで行方不明になっていた岡本太郎の巨大な壁画が渋谷駅の井の頭線への通路にかかっている。労作ではあるが、スペインのマドリードで仰ぎ見た本物のゲルニカ(ピカソ作)を前にした時の圧倒的な感動とは程遠かった。このドラマでその理由がわかった。
   「芸術は爆発だ!」とカメラ目線で目を剥いていた太郎の生前を知っている者からすれば、太郎は前衛芸術家というよりは、奇抜な発言をしても決して非難されない不思議な有名人という立ち位置だった。要するにお育ちがよかったのである。父は有名漫画家・一平(田辺誠一)、母は有名歌人・かの子(寺島しのぶ)、1人っ子だから、相当にぶっ飛んでいる藝術病の母に放っておかれようと、猫っ可愛がりの愛情は掛けられていたわけだ。
   つまり、DNAでは芸術家の血が流れていたが、「画家にする」という母の意志のままに育てられて絵描きになった。パリでの東洋人差別も、所詮は親に仕送りしてもらう恵まれた留学生ゆえに本物の地獄を見たわけでなくハングリーでもない。限界があったのだ。
   物語は1970年の大阪万博のプロデューサーになる顛末と、ハチャメチャな幼児期の家庭とを交錯して描く。壮年の太郎を演じるのは松尾スズキ。形態模写はうまいが太郎のあの迫力は出ていない。寺島しのぶが素敵。挿話としては万博の太陽の塔を、丹下健三が設計したメイン会場の天井をぶち抜いて設置するくだりが面白かった。

(黄蘭)

採点:1.5
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter

このエントリーはコメント・口コミ受付を終了しました。

注目情報PR
追悼
シニアの健康ライフ
Slownetからのおすすめ記事(提携)

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中