2024年 4月 24日 (水)

ジョニー・デップ冴えない中年、乏しいアクション…まるで物足りないゾ!

<ツーリスト>ハリウッドの人気を二分するスターが初競演ということで話題を呼んでいる。監督は『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。2005年のフランス映画『アントニー・ジマー』をハリウッド・リメイクした作品である。

   妻を亡くし、傷心を癒すためにベニスへの旅に出た数学教師のフランク(ジョニー・デップ)は、その車中で上流階級の美女エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)と出会う。エリーズに誘われるままにベニスの最上級ホテルのスイートルームに宿泊することになったが、窓際でエリーズはいきなりキスをする。戸惑うフランク。しかし、その様子を何者かがカメラで撮っていた。

   翌朝、フランクが目覚めるとエリーズの姿はない。そこに乱入してくる銃を持った2人組。フランクは着の身着のままホテルから逃げ出したが、すでに陰謀に巻き込まれていたのだ。

唐突過ぎるどんでん返し

   水の都ベニスの船でチェイスシーンはスピード感たっぷりで見ごたえがある。フランクを罠に嵌めながら、放っておくこともできず助けに行くエリーズ。ただ、派手なアクションはここぐらいで、全体としては謎解き中心のミステリーに仕上がっている。アクション場面が少ないハリウッド・リメイクでは、わざわざ作り直した意味がわからない。アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップの初共演はたしかに魅力的だが、こうなるとなにも本作でなくても良かったのでは…。

   フランクを誘惑するアンジェリーナ・ジョリーは『アントニー・ジマー』のソフィー・マルソーとは違うゴージャスさがあっていいのだが、ジョニー・デップのパッとしない平凡な中年男という設定にはどうしても抵抗がある。フランクは映画の中で劇的に変化するのだが、その様子を上手く描けていないために、どうしてもミスキャストだと感じてしまうのだ。見せ場もあまりないので、ジョニー・デップファンには不満だろう。

   ラストのどんでん返しも、私は受け入れらなかった。同じラストの『アントニー・ジマー』は納得することができたのだが、本作は唐突な印象だけしかなく、裏切られたような気分になっってしまう。ミステリーというジャンルであるにも関わらず、ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門にノミネートされたというのも皮肉なのか。

野崎芳史

おススメ度☆☆

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