2024年 3月 29日 (金)

伝わらない「安否」―不明者確認は阪神淡路のたった「1万数千分の51」

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   東日本大震災から10日経った21日(2011年3月)現在、確認された死者は8649人、行方不明者は届け出数だけで1万3261人にのぼる。だが、死者のうち身元が確認されたのは半数以下の4080人にとどまる。

   6400人の死者を出した阪神淡路大震災の時は、10日目の不明者はわずか51人だった。今回の災害の特徴は、いまなお被災者の全容が明らかでないことだ。「助かった」「無事です」という伝言すら伝わらない。なぜか。

   災害が広範囲にわたり、通信、インフラが壊滅的な打撃を受けた。遺体を発見しても、津波で遺留品がほとんどない。流されてもともとどこにいたのかもわからない。群馬大大学院の片田敏孝教授(災害社会工学)は「どう人の命を守るかを研究してきたが、想定とあまりに違い過ぎた。力及ばずです」という。

だれが不明かもわからない

   避難所にはどこも安否を示す伝言板がある。本人しかはがすことはできないから増える一方だが、これが事実上、唯一の連絡手段なのだ。その「確認は6割弱」という。

   宮城・気仙沼の林由美さんはこの1週間、夫の剛正さんを求めて避難所を全て回った。総合病院もたずねたが名前はなかった。自宅のあった場所はまだ水の中で近寄れない。どこかにいるのではないか…。

   あの日、夫は休みで家にいた。地震直後、職場の由美さんに「小学生の娘を迎えにいこうか」とメールがあったのが最後だった。子ども2人は無事で、3人はいま姉の家にいる。

   宮城・東松島の尾形康平さん(74)は1人娘を捜している。遺体安置所で特徴の合う張り紙を探す。この日に確認したのは別人だった。娘のひしゃげた車が見つかった場所を離れたくないという。

   仙台の避難所にいる遠藤武志さん(63)は、妻を失い息子も不明だ。避難所の夜は寒く体調も思わしくない。県は別の避難所をすすめるが、「離れたところへ行ったら、情報が途切れるのが不安」と離れられずにいる。

   身元の確認の難しさをNHKの松本浩司・解説委員は、 「何でも流してしまう津波の残酷な様相がある」という。南三陸町など4つの市と町では庁舎がなくなって、個人情報が失われた。「不明の届け出のない人もいる。だれが不明かもわからない」「また、離れたところへ避難していても、見つかったらすぐ情報が入るような態勢つくり大切だ」と松本は話す。

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