「震災経済特区」急げ!産業再興の切り札これしかない

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   東日本大震災で失われた被災地の雇用はどうなるのか。国谷裕子キャスターは「被災地の企業では、従業員の解雇という事態に追い込まれている。被災地での雇用をどう確保するのかという問題が大きく問われてきます」と話す。その具体例として、町の機能が少しずつ回復し始めた岩手県釜石市での模様をレポートした。

   かつての鉄の町・釜石は、新日鐵の規模縮小の危機を積極的な企業誘致で乗り切ってきた。その誘致企業が軒並み津波に飲み込まれ、およそ4000人が職を失ったと見られている。釜石市は浸水地域に替わる新たな工場用地を用意して企業に残存を呼びかけているが、苦戦が続いている。加藤恵正・兵庫県立大学教授は「被災された人々の復興に対する意欲が重要。リスクを取っても、この場で頑張るという姿勢が復活のカギとなる」と話す。

   地場産業も大きな打撃を受けた。水産加工業を営む小野昭男さんは3つの工場の全てが津波で破壊され、残されたのは今年初めに竣工したばかりの新規工場建設費5億円の借金だけだった。90人いた従業員のほぼ全てを一時解雇し、残った6人で機械を修理しながら細々と事業再開を模索している。

   また、地元の鉱山会社は事業再開のため新たに1万8000坪の土地を確保したが、その3分の2が住宅用地に指定されていて、指定変更には1年から2年ぐらいの時間がかかるという。国谷は「被災地での土地の用途をどうするか。これは改めて考える問題だと思います」と言う。

   釜石市にあった電子部品メーカーは釜石から撤退して長野県に移ることにしたが、釜石市役所担当者は「これで釜石はダメだと見られたくない」と心配する。

企業の「東北離れ」を食い止めろ

   加藤教授はこんな提案をした。

「残存経済機能がある。これから最低限の経済機能が動き出す。これを力強いものにするためには、経済特区でという考え方もある」

   国谷が補足した。

「経済特区は阪神・淡路大震災の時も議論されましたが、時間切れで議論は進みませんでした。今回の大震災は阪神・淡路を上回る大規模なもので、こうした特別措置が必要になるのは避けられないのではないでしょうか」

   すでに海外の企業は部品調達などを日本の東北から外国に移しつつある。被災地の企業が立ち直ろうとしても、自分たちの頑張りだけではどうにもできない側面が強まりつつある。政府には、単に雇用確保だけではなく、企業の「東北離れ」に歯止めをかける方策が急がれる。

ナオジン

*NHKクローズアップ現代(2011年4月28日放送「雇用は守れるか~岩手・釜石ドキュメント~」)

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